山中慎介が語る「すべてがハイレベルだった」ウェルター級王者と、敗れた佐々木尽の今後に期待すること (4ページ目)
――山中さんの場合、"神の左"と称された左ストレートが最大の武器でしたが、それ以外の武器についてはどう考えていたのでしょうか?
「僕の場合は、左ストレートを当てるための動きやパンチをどう組み立てるか、という発想でした。左を当てやすくするための位置取り、あるいは、ボディへの攻撃を見せたり、目線でフェイントをかけたり。左ストレートを磨きながら、それを最大限に活かすために必要な要素も、同時に磨いていましたね」
――佐々木選手はまだ23歳。今回は敗れましたが、ウェルター級の世界戦を経験したことは、大きな財産になると思います。
「そうですね。まず、試合後の検査で大きなダメージがなかったことは本当によかったと思います。ウェルター級王者への壁は簡単に越えられるものではありませんが、佐々木には彼ならではの良さがありますから、その"らしさ"と勝負できる武器を大事にしながら、どう進化していくのか。これからが本当に楽しみです」
【プロフィール】
■山中慎介(やまなか・しんすけ)
1982年滋賀県生まれ。元WBC世界バンタム級チャンピオンの辰吉丈一郎氏が巻いていたベルトに憧れ、南京都高校(現・京都廣学館高校)でボクシングを始める。専修大学卒業後、2006年プロデビュー。2010年第65代日本バンタム級、2011年第29代WBC世界バンタム級の王座を獲得。「神の左」と称されるフィニッシュブローの左ストレートを武器に、日本歴代2位の12度の防衛を果たし、2018年に引退。現在、ボクシング解説者、アスリートタレントとして各種メディアで活躍。プロ戦績:31戦27勝(19KO)2敗2分。
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