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井上尚弥vs.中谷潤人を米ボクシング関係者たちはどう見る? モンスターの防衛戦を見て予想を変えた識者も (2ページ目)

  • 林壮一●取材・文 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

 モンスターは9月にムロジョン・アフマダリエフ戦を控えているが、ボクシングの本場で注目されているのは、やはりWBCバンタム級チャンピオン、中谷潤人との日本人頂上決戦である。

「2人とも素晴らしいファイターだ。ジュントを指導しているルディ・エルナンデスと私は、昵懇(じっこん)の仲。だから、ジュントのことは世界チャンピオンになる前から見てきた。

 ルディは自分のやるべきことを把捉しており、確かな腕を持つトレーナーさ。イノウエ戦は、師弟とって大きな挑戦だし、とてつもないビッグマッチになる。来年の5月だっけ? 世界中がトーキョーに熱い視線を注ぐだろう。今、ジュントもどんどん強くなっているからね」

 ズバリ、予想は? と訊ねると、ガルシアは言った。

「ジュントはリーチが長く、背も高い。リーチのアドバンテージがあるのは間違いない。ただね、今のジュントに必要なのは、勝ち続けること。それだけだ。連勝して自分のボクシングを見せることが、さらなる自信につながる。現時点でも十分に強いし、スタイルもいい。でも、5月まで勝ち続けてメガファイトを迎えてほしい。

 ものすごくいい試合になるだろうね。まぁ、実力は50/50......いや、60/40かもしれない。あるいは、45/55かもしれない。拮抗しているのは事実だ。つまり、今から1年後に両者がどんな状態でリングに上がるかで明暗が分かれるってことだ」

 ガルシアは勝敗予想に関する明言を避け、つけ加えた。

「このところ、ジュントは著しい成長を見せているだろう? 試合の度によくなっているから、ジュントには大きなチャンスがある。私はそう思う」

【「両ファイターには差があると思う」】

 元世界ヘビー級チャンピオンの父を持つ、ハシーム・ラクマン・ジュニアは20年以上ラスベガスに住み、現役ボクサーとしてリングに上がる傍ら、取材者としても競技を見つめている。

元世界ヘビー級王者の父を持つハシーム・ラクマン・ジュニア元世界ヘビー級王者の父を持つハシーム・ラクマン・ジュニアこの記事に関連する写真を見る

 2001年4月22日、ラクマンの父は圧倒的不利とされながらも、南アフリカでWBC/IBFヘビー級チャンプのレノックス・ルイスを5ラウンドでノックアウトし、王座を奪取した。当時、ジュニアは10歳だった。"世紀の番狂わせ"と評されたが、世界の頂点に立った父親と共に、いくつかの祝勝会に出席しては無邪気な笑みを浮かべていた。

 ただ、ラクマンの父は約7カ月後のダイレクト・リマッチで4回に沈められ、あっさりとベルトを手放している。

「父の影響で、幼い頃からメディアの人達と付き合ってきた。今、休学中なんだけど大学で心理学と演劇を専攻している。"ボクシング取材"は、俺のキャリアが生かせるなって思ってさ」

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