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井上尚弥のラスベガスでの一戦、現地ベテラン記者の予想は「一方的」 来年は中谷潤人との対戦にも期待 (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

【魅力的な選択肢があるのに5月4日に実現できなかったことは残念】

取材に応じてくれたキム記者は、井上をライブで見る機会を楽しみにしている photo by Sugiura Daisuke取材に応じてくれたキム記者は、井上をライブで見る機会を楽しみにしている photo by Sugiura Daisukeこの記事に関連する写真を見る――カルデナスが井上を倒すという番狂わせはあり得ると思いますか?

SK:ラスベガスのオッズでは大きな差がついている。1989年、ジェームズ・バスター・ダグラスがマイク・タイソンを東京ドームで倒した"世紀の番狂わせ"の2倍ものオッズだ。それだけ力の差があるマッチアップだということ。正直に言ってしまえば、問題はイノウエが勝つかどうかではなく、どれだけ早く勝つかに絞られてくると思う。

 カルデナスが勝つようなことがあれば、21世紀最大級の番狂わせだろう。イノウエは集中力と規律に秀でたアスリートであり、これだけ前評判に差があっても、スティーブン・フルトン戦と同じように、丁寧に戦うと思う。それが現実であり、番狂わせは考え難い。

――試合予想をお願いします。

SK:井上が2ラウンドで決着をつける。初回KOと言わないのは、私がとても寛大だから(笑)。KOするのはボディ攻めかもしれないし、ほかのパンチかもしれない。

――ラスベガスの屋内会場では最大のキャパシティ(約2万人)を誇るT-Mobileアリーナが使用されることには驚かされましたか?

SK:少し驚いたが、大きなイベントにしたいというのがイノウエ自身の希望だったとボブ・アラム・プロモーターには聞いている。チケットの価格は少し高いが、MGM系列が(プロモーションに)大きな投資をしていることもあり、多くの観衆が集まるだろう。

 個人的に気になるのは、日曜の夜のイベントがどんな雰囲気になるか。ベガスでも日曜の興行は多くないだけに、その成否が興味深い。

――今年、井上はあと3戦を予定し、9月にWBA世界スーパーバンタム級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と防衛戦、12月にはWBA世界フェザー級王者ニック・ボール(イギリス)への挑戦が計画されています。どの試合を最も楽しみにしていますか?

SK:アフマダリエフ戦は井上にとって、スーパーバンタム級で最後に残った厳しいハードルだと思う。それも非常によいマッチアップだと思うが、階級をまたひとつ上げて屈強な男(ボール)と戦うのも同様に興味深いこと。このふたつの試合は同じくらい魅力的だと考えている。

――来年以降、井上にはどんな相手と対戦していってほしいですか?

SK:まずフェザー級では総合的なスキル、スピード、クイックネスを持ち、カウンターを取る技術もあるフェザー級無敗ランカーのブルース・キャリントン(アメリカ)は魅力的な対戦相手になる。身長と身体の強さを兼備したWBO世界フェザー級王者ラファエル・エスピノサ(メキシコ)との激突も面白い。このふたりとの対戦ならアメリカでも大きなイベントになり、多くのチケットがさばけるだろう。

 イノウエがスーパーバンタム級にとどまるというなら、もちろんジュント(WBC世界バンタム級王者・中谷潤人)との対決も忘れてはいけない。私はジュントのトレーナー、ルディ・ヘルナンデスとは毎週のように話している。ルディは今すぐにでもジュントと井上の試合を実現させたいと願っている。

 井上にはこれだけ多くの魅力的な選択肢があるのだから、そのなかのどのカードも5月4日に行なわれないのはやはり残念ではある。

著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

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