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アジャコングが明かす、ブル中野からベルトを獲ったあとの苦悩 今はリング上で相手と「会話」をしながら闘う (3ページ目)

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

【リング上で相手とする会話】

――全女を退団してフリーになってから、長与さん率いるGAEA JAPANに参戦されます。2001年12月15日、里村明衣子選手とのタイトルマッチに敗北し、AAAWシングル王座を失いましたが、里村選手はその数日後の会食でひと言も話すことができず、「こんなのチャンピオンじゃない!」と思ったそうなんです。アジャ選手から見て、当時の里村選手はまだチャンピオンの器ではなかったですか?

アジャ:チャンピオンの器というのは、チャンピオンになってからできるんです。私も中野さんからベルトを取った時は、"チャンピオンになるくらいの実力はついた"というだけで、そこからのチャンピオン像とかチャンピオンの器は、自分で作っていくしかなかった。チャンピオンになってから器が作れなかった人は「その器じゃなかった」と言われるだけですし、きちんとしたものを作っていけば、「器のデカいチャンピオンだったな」と言われる。明衣子はベルトを取って早々に「チャンピオンの器じゃない」と思ったとのことですが、そもそもまだ器がないんですから。

 プロレスのチャンピオンって言ったって、世間の人は誰も知らない。「プロレスのチャンピオンです」と言ったところで、「へえ、それで?」となってしまう。でも、チャンピオンとしての器を自分がちゃんと作っていくことで、「この人ってすごいチャンピオンなんだな」と思わせることはできます。器は自分で作るものだと思いますね。

――アジャ選手は誰と闘っても名勝負にしてしまうレスラーだと思います。どうすればアジャ選手のように、対戦相手の力量や相性などに左右されないレスラーになれるのでしょうか。

アジャ:手が合う、合わないというのはあるんですけど、手が合う人との試合だから名勝負になるとは限らない。井上京子とやっている試合では、「こいつはたぶんこう来るから、三手先でこういってやろう」って先の読み合いをするのがすごく楽しい部分ではある。でも、逆に堀田(祐美子)選手などはあんまり手が合わなかったですけど、手が合わないなら合わないで、ケンカすりゃあいいだけの話なので。お客さんが見たいものは"闘い"。それならば、その人に合った闘いをすればいいだけじゃないかなと思います。

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