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「井上尚弥vs.グッドマン」を予想 大番狂わせはあるのか? 在米記者3人に聞いた (2ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

2. 大番狂わせがあるとすれば、どんな展開か?

カノービオ : 日本で井上が判定負けするとは思わないし、アウトボクシングされてしまうとは考え難い。5月の試合でネリは初回にダウンを奪ったが、井上はそこで目を覚まし、激怒し、破壊的なKOで相手を仕留めてしまった。そう考えていくと、グッドマンが井上に勝つことを予想するのはやはり難しい。あり得るとすれば、井上が見えないパンチをもらった時ではないか。

グッダル : 井上のペースで進まない流れがあるとすれば、グッドマンがラフでダーティな戦いを挑んだ時だろう。それと同時に、減量苦か、精神面の不調か、何らかの要因で井上が本調子でないという条件が組み合わされなければいけない。ノニト・ドネアとの第1戦では井上が序盤に目を骨折し、おかげで試合全体が変わった。ネリ戦では日本絡みの因縁があったためか、井上は少々入れ込みすぎの状態になっていたように思えた。それらの例と同じように、何か予想外の大きなアクシデントが起こった場合には波乱の可能性は出てくる。

 ただ、グッドマンは好選手ではあっても、ネリ、ドネアのような一発強打を持つボクサーではない。井上がこの試合でネリ戦のように精神面をかき乱されることは考え難いだけに、苦戦を想像するのは簡単ではない。

バティア : 番狂わせが現実味を帯びるとすれば、井上が本調子でないか、あるいは集中力を失ったとき。もしくはネリ戦でダウンを奪われたときのように、瞬間的な落とし穴にはまった時ではないか。井上はそのアグレッシブなスタイルゆえ、ビッグパンチを被弾するシーンも散見される。前がかりになりすぎ、そこで強烈なパンチをもらった場合には、という危険はある。井上のようにスキル、スピード、パワー、精神的な強さをすべて備えた選手に番狂わせが起こったらショッキングだが、ボクシングでは何でも起こり得ることは証明されてきている。

3. 試合予想は?

カノービオ : 井上の判定勝ちだ。グッドマンは、ハングリーでタフ。ポール・バトラー、ドヘニーのように井上相手に戦う意志を示さなかった選手もいたが、ネリ同様、グッドマンは勝つつもりで仕上げてくると思う。井上が加齢による影響をわずかに見せつつ、ポイントを奪っての勝利を挙げると見る。

グッダル : 開始直後はグッドマンがジャブを放ってアウトボクシングを目論み、井上は慎重にスタートを切るかもしれない。ただ、中盤までには井上が強打でダメージを与え、最終的にはフィニッシュに持ち込むのではないか。まずはボディで効かせ、必死にサバイブを目指す挑戦者を、最後は派手に倒すと思う。井上が2度のダウンを奪い、終盤KO勝ちを飾るだろう。

バティア : 井上のKO勝ちを予想したい。すべてのツールを備えた井上がここでつまずく姿は想像しづらい。グッドマンも底力のある上質なアウトボクサーではあるが、井上に土がつくとすれば、本当に特別な選手と対戦した場合か、あるいは階級を上げ過ぎた時だろう。

取材にご協力いただいた記者の方々(左からカノービオ、グッダル、バティアの各氏) photo by Sugiura Daisuke取材にご協力いただいた記者の方々(左からカノービオ、グッダル、バティアの各氏) photo by Sugiura Daisukeこの記事に関連する写真を見る

著者プロフィール

  • 杉浦大介

    杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)

    すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう

【写真集】井上尚弥 Training Days 2023

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