山中慎介は激闘の「武居由樹vs比嘉大吾」で勝負を分けたポイントをどう見たか 10.13「井上拓真vs堤聖也」も予想した (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【井上拓真vs堤聖也はどうなる?】

――10月13日には、WBA世界バンタム級王者・井上拓真選手と、同級2位・堤聖也選手の日本人対決があります。どのように予想しますか?

「実績や試合内容から見ても、実力的には拓真のほうが一枚上だとは思います。ただ、堤も日本人のトップ選手を相手に結果を残してきています。相手のよさを消す戦い方で、拓真がペースを握るのもそう簡単ではないでしょう。堤が拓真のペースを崩せるかどうかがポイントですね」

――堤選手はスイッチ(右・左、両方の構えで戦える)ですが、相手にとってはやりにくいですか?

「非常に独特なスタイルですよね。相手が右なら右、左なら左で構えることが多い印象です。変則的なので相手は対策が難しいと思います」

――スイッチといえば、パウンド・フォー・パウンドのトップ争いの常連、テレンス・クロフォード選手もそうですが、クロフォード選手は一度スイッチしたらその構えで長く戦います。でも、堤選手はラウンド中に細かくスイッチしますよね?

「そうなんです。打ち終わりで後ろ足を前に出して、歩くようにして入れ替えています。リズムも独特。あのスタイルのスパーリングパートナーを見つけるのは難しいかもしれませんね」

――拓真選手は、21戦20勝(5KO)1敗、唯一の黒星は、サウスポーのノルディーヌ・ウバーリ選手(2019年)ですが、特にサウスポーが苦手ということではない?

「あの時は、ウバーリが一枚上でしたね。特にサウスポーが苦手という印象はありません。今年は、サウスポーの難敵、ヘルウィン・アンカハスをKOで倒していますしね」

――堤選手は、13戦11勝(8KO)2分けと負けがありません。

「日本人のトップクラスを相手に負けていませんよね。穴口一輝選手との試合では、4度のダウンを奪いましたが、ダウンを奪ったラウンド以外はすべてポイント取られていました。それでも最終的に勝ち切る強さがあります」

――どんな試合展開を想像していますか?

「拓真は、一発で倒すパンチはそこまでないかもしれませんが、それ以外のすべてを兼ね備えている選手だと思います。それほど技術が高い。前半でしっかりポイントを取って、自分のペースに持ち込めば問題ない試合になるでしょう。一方で堤は強いハートと独特のリズムで、どこまで拓真を崩せるか。日本人同士で同い年、非常に楽しみな試合です」

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