大島沙緒里が双子の母になり柔道を引退→「ちょっと運動を」と始めた格闘技でRIZINのリングに辿り着くまで (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【双子の娘は戦う母をどう見ている?】

――格闘技の世界で「やっていける」と思えた、ターニングポイントとなった試合はありますか?

「柔道を20年間やったあとだったので、当初はMMAに没頭することができませんでした。でも、『DEEP JEWELS』(2020年9月)でパク・シウ選手に判定負けして、その後に出場したアトム級グランプリ(2021年3月)でまたパク選手と当たる可能性があるとわかった時、気持ちが変わりました。パク選手は練習の虫だそうで、努力の天才と聞いていましたし、『同じくらい練習しないとダメだ』と火が付きました」

――女子格闘技全体を見ると、以前に比べて話題が少なくなった印象もありますが、その点についてどう感じていますか?

「山本美憂さんも引退されましたし、注目度が落ちたことは感じています。RIZINに、DEEP JEWELSの選手が多く出ていますし、新たな対戦カードを組むのが難しい状況なのもあると思います。

 あと、RIZINの49kg級は海外では一般的な階級でないため、海外選手を招くのに影響があるのかもしれません。52kg級の選手が体重を落とすか、2月に戦ったクレア選手はアメリカの団体では47.6kgで戦っているので、RIZINでは少し上げていました。そんな状況もあって、海外の選手とのマッチメイクが難しいのかなと」

――そんな状況でも奮闘する大島選手の姿を、双子の娘さん(5歳)はどのくらい理解しているんですか?

「子どもが1歳になる前に格闘技を始めて、ミクロ級のベルトを獲った時(2020年)は泣いていました。たぶん怖かったんでしょう。今では、試合後にリングに上がれることがあることがわかっていて(笑)。BLACK COMBATとの対抗戦で負けた時は、『なんで入れないの?』という感じでした」

――ここまでは、強いお母さんを見せられているんじゃないですか?

「そうだといいですね。娘たちは格闘技のことを『ヤーヤー』と言っています。柔道で一本を取るときの掛け声の『ヤァ!』から来ているんだと思うんですが、『ママ、ヤーヤーの練習に行くの?』と聞いてきます(笑)」

――お子さんの話をされる時の大島選手は、笑顔があふれますね。試合で勝利した姿を娘さんに見せること以外に、戦うモチベーションは何ですか?

「周囲のさまざまな方の理解と協力があって格闘技を続けることができていますし、その方たちのためにもという思いもあります。あとは、とにかく次の試合を絶対勝つこと。そして最終的には、RIZINのベルトを巻くことですね。まだまだ上を目指して戦っていきます!」

【プロフィール】
■大島沙緒里(おおしま・さおり)

3歳から始めた柔道では、2014年9月の全日本ジュニア体重別選手権女子44kg級で優勝。同じ大学で同級生の本野美樹のプロデビュー戦を観戦後にMMA転向を決意し、AACCに入門。2019年の全日本アマチュア修斗優勝、2020年9月のDEEPで女子ミクロ級王者に輝いた。2021年3月のDEEP JEWELSアトム級GPを制し、アトム級の王座も獲得。RIZINデビュー戦となった2021年10月の浅倉カンナ戦を判定勝利。その後も勝利を重ね、RIZINでは4連勝中。

≫『DEEP JEWELS 45』
2024年5月26日(日)にニューピアホールで開催

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