井上尚弥の次戦が濃厚な相手ルイス・ネリをいとこの浩樹は「難敵」と分析「セオリー通りじゃないところが怖い」 (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【「漫画の主人公に近づこうとしている」】

――尚弥選手が4ラウンドの終了間際、右ストレートからの左フックでダウンを奪いました。そのまま一気に行くかと思われましたが、タパレスはその後、ファイトスタイルを変えましたね。

「序盤、タパレスは両腕を上げてガードを固めて戦っていましたが、相手からすればガードの上からでも叩けるので、ある意味打ちやすい。あと、両腕でガードを固めている時は、足が動かずに"突っ立った"状態になることが多いんです。尚弥のパンチをガードの上からもらって、『ヤバい』と感じたのでしょう。だから後ろ重心とL字ガードにして、よりディフェンシブなスタイルに変えたんだと思います」

――試合中、尚弥選手はセコンドに「パンチを当てづらい」と話したそうですが?

「タパレスはディフェンス重視になってから、尚弥の打ち終わりに合わせたり、打ち始めに合わせたり、その繰り返しでした。そのような戦術を取られると、クリーンヒットさせるのはなかなか難しいんです」

――尚弥選手がガードの上からパンチを当てたり、大きく振るパンチも印象的でした。それらも狙いがあったのでしょうか?

「そうですね。大振りに見えたパンチも、大きいパンチを見せておいて小さいパンチを返す、上に大きいのを見せておいてボディに散らす、といった狙いがあったと思います。決してKOを狙っての大振りではなくて、あえて大きくパンチを振って警戒させて、その反応を見ながら違うパンチを当てる。そんな感じですね」

――試合後、尚弥選手は今の自分について70点と採点し、あと30点は伸びしろと話していました。まだ足りない部分があるのでしょうか?

「ちょっと想像もつかないです(笑)。僕レベルだとわからないですね。漫画の主人公などに近づこうとしているんじゃないですか(笑)」

――2階級の4団体統一も「ここは通過点」だと語っていますが、モチベーションを維持するための目標はどこに置いているのでしょうか?

「僕も、尚弥のモチベーションについては気になっています。あれだけすごいことを成し遂げても変わらないんですよね。毎日毎日ひたむきに、強くなる探求心を持って練習に臨んでいる。逆に『強くなりすぎている』というか、見ている人たちの中にそういう『井上尚弥像』みたいなものができていると思うので、その期待を『裏切りたくない』という部分もあるのかなと思います」

――ライバルやターゲットにふさわしい選手も見当たらない中、ファンが思い描く最強の井上尚弥像に近づくことがモチベーションになっていると。

「そうなのかな、と思います。そうなると、やっぱり漫画の主人公や、ヒーローに近づいていくという感じになりますね」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る