ヒョードルとも闘った髙阪剛が『RIZIN』に鳴らす警鐘 「日本の選手にとってマズい状況になる」 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

――ケラモフ選手のバックボーンは、サンボにあるようです。サンボで思い出すのは、かつて『PRIDE』で頂点に君臨したエメリヤ-エンコ・ヒョードル。髙阪さんはヒョードルとも対戦されていますが、サンボは総合格闘技に応用しやすいのでしょうか?

「サンボとひと口に言っても、さまざまな流派や種類があります。具体的には、コンバットサンボやスポーツサンボなどです。コンバットサンボは、総合格闘技のような要素を持ち合わせていて、ヒョードルもやっていました。一方のスポーツサンボにもさまざまなスタイルがあって、ポイントを競うのではなく相手を壊しにいくスタイルや、テイクダウンを重視するスタイルなどがあります。

 ロシアのダゲスタン共和国(アゼルバイジャンと隣接)のサンボは、相手を制圧することを中心としたスタイルだと思います。サンボは本来、捨て身技がすごく多いんです。カニバサミや膝十字、回転しながら相手の足を決めにいく技ですね。それに対してダゲスタンのサンボは、相手の体をしっかりとコントロールして、トップポジションを取って制圧することを重視するスタイルが多いです」

――ダゲスタン共和国というと、「ライト級史上最高の選手」とも称された、元UFCライト級世界王者のハビブ・ヌルマゴメドフの出身地でもありますね。

「そうですね。今はダゲスタン・レスリングと呼ばれていますが、ケラモフも、もしかしたらダゲスタン特有のトレーニングを積んでいるのかもしれません」

【リングとケージ、戦い方の違い】

――『RIZIN』ではたびたび、ロープ際の攻防が問題になっています。選手がロープから飛び出してリング外へ出てしまったり、テイクダウンされそうな時にロープを掴んでしまったり。世界標準にするなら、『UFC』や『Bellator』が採用しているケージにしたほうがいい、という意見もよく聞かれますがいかがですか?

「日本の総合格闘技の歴史には『PRIDE』という大きな存在がありますから、現在もその流れを汲んでいる背景もあると思います。『RIZIN』のCEOの榊原信行さんがよく言っているのは、『全部が全部一緒じゃなくていい』ということ。『RIZIN』がユニファイド・ルールにはない独自の階級を設定しているのも、選手の多様性を重視してのことでしょう。

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