「オリンピックを目指すのは時間がもったいない」入江聖奈に敗れ東京五輪出場ならず→プロボクサーに 晝田瑞希の新しい夢はアメリカの大舞台

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 田中亘●撮影photo by Tanaka Wataru

【入江の辞め方は「山口百恵さんみたい」】

――入江さんは"カエル好き"というキャラクターもあって大きな話題になりましたね。

「彼女個人のことはまったく嫌いじゃなかったし、その強さは私が1番わかっていると思っていました。いろいろ落ち着いたあとに東京五輪での彼女の試合を見たら、私とやった時よりも強くなっていましたね。闘っていた時からそうですが、今でも尊敬しています」

――入江さんは2022年11月の全日本選手権を最後に引退し、この春から東京農工大学大学院の修士課程でカエルの研究を始めます。引退を聞いた時の気持ちは?

「感謝の気持ちでいっぱいです。アマチュアで最後に対戦した相手が、オリンピックで金メダルを獲得するという経験ができる人はなかなかいない。敗けたあとの苦しみ、それを乗り越えることを経験ができたのは入江選手のおかげです。

 彼女は辞め方も100点ですよね。頂点に立って、そのまま競技を離れるわけですから。もがいてでも幸せになろうとしている私とは真逆の人生。人気絶頂で引退した山口百恵さんみたいでかっこいいですね」

――1980年の引退コンサートの最後、山口百恵さんがステージ中央にマイクを置いて去るシーンは有名ですが......26歳の晝田選手からその例えが出てくるとは思いませんでした(笑)。

「憧れの人なんです。私も山口百恵さんみたいにリングを去りたかったけど、入江選手がそれをやった。『強い人は、そういうところもかっこいいんだな』と。彼女は金メダルを獲ってからより謙虚になりましたし、ボクシング以外の人間性、生き方なども勉強になります。新しい道に進む今も刺激をもらっています」

――アマチュア時代は、話をする機会もあったんですか?

「ありましたよ。一緒に海外の試合に行くこともありましたから。練習でも、たまにカエルのTシャツを着ていましたね。本当にテレビで見せるキャラクターそのままで、飾らないし、嘘もつかない。ありのままで本当に面白いです。

 今でもたまに、SNSでやり取りをします。彼女の現役最後の大会になったアジア選手権でも、初戦でめちゃくちゃ強い台湾の選手(元世界女王の林郁婷)に勝ったんですが、その試合前日に意気込みをつぶやいていたので『頑張って』とメッセージを送りました。そうしたら、『晝田さんも頑張ってください。いつも刺激を受けてます』と返してくれました」

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