レスリングの未来がここにある。19歳の藤波朱理は「106連勝」、23歳の絶対女王・須﨑優衣を追いかける (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

【須﨑優衣は無失点で完全優勝】

 昨年の東京オリンピックでは6階級中4階級で金メダルを獲得し、日本は「女子レスリング王国」の強さを世界に轟かせた。

 だが、メダルに手が届かなかった重量級の68キロ級・土性沙羅、76キロ級の皆川博恵は事実上の引退。さらに今大会出場した東京オリンピック金メダリストの53キロ級・志土地真優、62キロ級・川井友香子(サントリービバレッジソリューション)は準決勝であっけなく敗れ去った。リオと東京で五輪2連覇の金城梨紗子(旧姓・川井/サントリービバレッジソリューション)は結婚・出産を経て復帰したものの、非オリンピック階級の59キロ級で"試運転中"だ。

 そんななか、東京オリンピック金メダリストの50キロ級・須﨑優衣(キッツ)は孤軍奮闘。オリンピック後も全試合負けなしで、今年の世界選手権とU23世界選手権でも全試合失点ゼロのフォール、テクニカルフォールで優勝。今大会も危なげなく全試合無失点で優勝を遂げている。

 現在23歳の須﨑は、カデット(2014年〜2016年優勝/現U17)、ジュニア(2018年〜2019年優勝/現U20)、シニア(2017年・2018年・2022年優勝)、東京オリンピック(2021年)、U23(2022年)と4世代の世界選手権+オリンピックを制し、世界で初めて"グランドスラム"を達成した。

 23歳の絶対女王・須﨑優衣を、19歳の新鋭・藤波朱理が追いかける──。2年後のパリオリンピックへ向けて、このふたりが日本女子レスリングをリードしていくことは間違いない。

【著者プロフィール】宮崎俊哉(みやざき・としや)
ライター。1962年8月5日生まれ、東京都出身。レスリング取材歴31年。1996年アトランタ大会からすべてのオリンピックを現地取材。著書に『京子! アテネへの道』(ぴあ)、『京子! いざ!北京』(阪急コミュニケーションズ)など。構成として吉田沙保里の『明日へのタックル!』(集英社)、『一日一日、強くなる~伊調馨の「壁を乗り越える」言葉(講談社)など。

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