赤井沙希への偏見とバッシングの嵐。それでも男子プロレスラーと闘い続ける理由 (2ページ目)
【愛するDDTのパーツになりたい】
バッシングに負けずリングに上がり続ける 写真/DDTプロレスリングこの記事に関連する写真を見る 赤井はバッシングに負けず、着実にキャリアを積み重ねていった。得意の打撃を磨き、男子レスラー顔負けの激しい闘いを繰り広げる一方、男色ディーノやヨシヒコといったエンターテイメント性の高いレスラーたちとも対戦し、プロレスラーとしての幅を広げた。
しかし、当時の赤井はあくまで「オスカープロモーション所属」。愛するDDTの「パーツになりたい」と思っていたが、そう思っているのは自分だけではないかという不安もあった。
2018年10月、DDTドラマティック総選挙で9位にランクイン。スピーチで「DDTの所属にしてください」と高木三四郎社長に直訴した。高木はこれを快諾し、晴れてDDT所属となる。
「結婚して、名字が変わったような気持ちでした。ずっと『私たちってつき合ってんの?』みたいな感じだったのが、ちゃんと籍を入れた、みたいな。オスカー所属やけど、名乗る時は『DDTプロレスリング所属の赤井沙希です』って言えるんやぁと思って。デレッデレでしたね」
2020年1月には、坂口征夫、樋口和貞と共に、新ユニット「Eruption(イラプション)」を結成した。
「DDTはバチバチとした闘いだけじゃなくて、アイディアの団体だと思っているんです。『何これ?』と思ってもらえる楽しい試合をどんどんやっていきたい。いろんなDDTを見せたいという意味で、私にとって坂口さんと樋口君は大事なパートナーです」
2014年1月、デビューして4戦目で、赤井は世Ⅳ虎に初黒星を喫した。「私はただのでくの坊だ......」とひどく落ち込んだ。打撃を伸ばそうと思い、打撃が得意な坂口のもとを訪ねた。蹴りを教えてほしいと頼むと、坂口は「自分は見ると決めたらちゃんと見ます。厳しいですけど、ついてこられますか?」と言った。
「怖かったです、契りを交わしたみたいで(笑)。実際に厳しくて、何度も泣かされました。でも責任感のある方で、ちゃんと教えてくださる。お父様も偉大(坂口征二)で、私と似た悩みを抱えていたこともあるみたいです。そういった意味でも絆がありますね」
2 / 4