魔裟斗が振り返るKIDとの伝説の一戦。予想外のダウンにやっぱり「KIDは持っている」 (3ページ目)

  • 栗田シメイ●文 text by Kurita Shimei

――KIDさんとの試合以外で、印象に残っている試合はありますか?

「すべてのタイトルマッチですね。2003年のWORLD MAXのアルバート・クラウス戦、翌年のブアカーオ・ポー.プラムック戦、2007年のアンディ・サワー戦、そして2008年のキシェンコ戦。ただ、転機になった試合を挙げるなら、クラウスに負けた2002年の準決勝ですね。あの負けが、ボクシングテクニック向上のきっかけになったんです。真剣にボクシングの練習をやるようになって、自己流だったトレーニングも科学的なものを取り入れた。トレーナーをつけて、世界一になるための道筋を作っていったんです」

――当時は、科学的なトレーニングを取り入れる選手は珍しかったですよね。

「格闘技では、ほぼいなかったと思います。僕も最初はまったく効果を信じていなかったですけど、クラウス戦で『根性論だけでは世界で勝てない』ということを痛感したので。いざ、トレーナーと二人三脚でやっていくと、筋力などの数値が上がっていき、自分でも強くなっているのがわかったんです。『勝つためにはどうするか』を重視して、いろんな角度からトレーニングを見つめ直したことが、2度の世界王者につながったと思っています」

――ファンの中には、やはり2度世界チャンピオンになったアンディ・サワーとの、数々の死闘が印象に残っている人も多いと思います。

「サワーとは、2006年、2007年と2度負けた。ただ、トーナメントじゃなくワンマッチでやれば勝てるという自信がありました。トレーナーは、『サワーはそんなに簡単な相手じゃない』と言っていましたけどね。スタミナは僕が上で、フィジカルはサワーのほうが上、という見方をしていたようです」

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