カバンの中にゴキブリも。カリスマ女子レスラー・ジュリアが明かした壮絶ないじめに遭った過去 (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

 帰国後、ヘアメイクの専門学校に入学。夜はキャバクラで働き始めた。

「学校のコースを全部取っちゃったんです。みんなはだいたい、2、3個なんですけど、私は学びたい欲が強すぎて30個くらい取りました。コース1個で数万円、下手すると10万円を超えるものを大量に取ってしまって、メイク道具もどんどん買わなきゃいけない。とにかく、めゃくちゃお金が必要だったんです」

 最初に入店したキャバクラは、客層が悪かった。スカートの中に氷を突っ込まれた時は、ブチ切れて高級シャンパンが入ったグラスを全部ひっくり返した。

「我慢できない性格だし、人に媚びることができないんですよ。思ったことは言いたくて、相手が友だちであろうと、キャバクラのお客さんであろうと、私は演じることができない。だから色恋(営業)一切なしです。お客さんには『今月、ヤバい。生きていけないから来て』って、ストレートに言ってましたね。アフターに誘われても断って、それで来なくなるお客さんも多かったけど、結果的に『この子は素で会話できるな』と思ってくれるお客さんばかりになりました」

 ある日、プロレス好きの客が来店。後日、同伴でプロレス観戦に行ったが、初めて観た時はハマらなかった。しかし同伴をすればバックが入る。何回かその客とプロレス同伴するうちに、次第に引き込まれていった。さまざまな団体を観る中で、とくにハマったのがアイスリボンだ。Team DATEの格闘4姉妹が、団体を掻き回している頃だった。

「プロレスデビューしたばかりの格闘4姉妹が、アイスリボンの生え抜きの若手たちをバカンバカン蹴ってはキメて、やられている選手たちは超悔しそうだったんです。とにかく必死にやっていた。そんな彼女たちに、めちゃくちゃ感情移入したんですよね。私もその頃、夜(の仕事)をやりながら週7日学校に通ってて、毎日本当にしんどかったけど、かなりパワーをもらいました」

 ひとりで観戦に行くようになり、2017年7月、アイスリボンのプロレスサークルに入会。激動のプロレス人生の始まりである。

(後編:木村花を思い、涙)

【プロフィール】
■ジュリア
1994年2月21日、ロンドン生まれ。千葉市育ち。162cm、55kg。イタリア人の父と日本人の母を持つ。実家のイタリアンレストラン店長を経て、ヘアメイク専門学校に進学。2017年10月、アイスリボンでプロレスラーデビューし、2019年11月、スターダム入団。翌年1月4日、新日本プロレス・東京ドーム大会にタッグマッチで初出場。1月19日、朱里、舞華と新ユニット「ドンナ・デル・モンド」を結成。2月8日、ドンナ・デル・モンドでアーティスト・オブ・スターダム王座を戴冠。3月24日、STARDOM Cinderella tournament優勝。7月26日、第14代ワンダー・オブ・スターダム王者となる。2021年3月3日、日本武道館で行なわれた敗者髪切りマッチで中野たむに敗れ、丸坊主になり、ワンダー王座も喪失。4月4日、朱里とのタッグでゴッデス・オブ・スターダム王座を戴冠。
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【大会情報】
『YOKOHAMA DREAM CINDERELLA 2021 in Summer』
◆日程:2021年7月4日(日)/開場15:45/開始17:00
◆場所:神奈川・横浜武道館
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