引きこもり、のち「天才」。女子プロレスラー岩谷麻優の始まりは妄想だった (3ページ目)
今や、女子プロレスを代表するレスラーになった岩谷(写真提供:「スターダム」」「最初は恐怖心から引きこもってたんですよ。トラウマがあって、夢に出てきたりとか。毎日ビクビク怯えながら、家に隠れている感じでした。でも次第に薄れてきて、それからは漫画を読んだり、天井を見て妄想したり。そのあと、焦りの段階に入るんです。同級生がみんな進学や就職する時期に、自分はこの先、何をするのかと」
筆者もかつて鬱病になり、引きこもっていた時期がある。来る日も来る日も、天井を見て過ごした。そんな話も、岩谷は明るく受け止めてくれた。ここからは彼女とのリアルなやり取りを再現したい。
――怖れる、薄れる、焦る、という三段階はよくわかります。
「段階ありますよね」
――天井は未だに見つめています。
「私もですよ! 超インドア派なので、できれば家から一歩も出たくない」
――天井を見ながら、どんなことを妄想していたんですか?
「芸能人と恋愛する妄想ですね。ジャニーズが好きで、当時は嵐。ニノ(二宮和也)担でした」
――私もニノ担でした! 夢小説(※「ドリーム小説」のこと。特定の登場人物の名前を読者が自由に設定して読むことができるウェブ上の小説)とか読んでいましたか?
「読んでました! 名前を『まゆ』にして、自分に置き換えて読んでましたね。懐かしすぎる!」
――引きこもりを脱したきっかけは、プロレスだったんですか?
「そうです。ある日、2番目のお兄ちゃんとテレビのチャンネル争いをして負けて、お兄ちゃんはプロレスファンなので、プロレス中継を観ることになったんですよ。すごいイヤだったんですけど、ご飯を食べながらなんとなく観ていたら、『なんだこれ!?』と思って。ドラゴンゲートの試合だったんですけど、展開が早いし、『人間ってこんなことができるんだ!』って。プロレスっていうスポーツがあることも知らなかったんですけど、一気にハマりました。そこから妄想癖に変化があったんですよ」
3 / 5