井上尚弥に続くスター候補。米で「すこぶる評判がいい」日本人ボクサー2人 (3ページ目)
モレッティ副社長のそんな言葉どおり、井上という世界的なセンセーションの出現も追い風に。かつてマニー・パッキャオが快進撃をみせたあと、フィリピン選手の米リング登場が増えた時期があった。現在、まさにそれと同様の流れが日本人選手にもできつつある。
日本人ボクサーへの期待感が高まる中で、次にアメリカ進出が待望される選手は誰なのか。モレッティは、「(今後も注目するのは)軽量級が中心になると思う」と述べている。バンタム級では井上を中心に据えたい事情もあり、引き続きその上下の階級のボクサーに目が向けられるはずだ。
何人かのボクシング関係者に意見を求めると、米リング未経験者の中では、3階級王者・田中恒成(畑中ジム)、11月6日にWBO世界フライ級王者になったばかりの中谷潤人(M.Tジム)という2人の評判が抜群によかった。
今年の11月にWBOフライ級王座のタイトルを獲得した中谷潤人(右) photo by Kyodo News まだ世界的に有名な選手とはいえないが、無敗のまま複数階級で力を発揮する田中の実力は、一部の専門家筋から高く評価されている。『リングマガジン』のランキング選考委員であるマーティン・マルカヒー氏は、「今年10月にワシル・ロマチェンコに勝ったテオフィモ・ロペスよりも、田中とWBA、IBF世界スーパーライト級王者のジョシュ・テイラーのほうが、パウンド・フォー・パウンドでトップ10に入るべきだと思う」と述べていた。
現在、スーパーフライ級はローマン・ゴンサレス(帝拳ジム=ニカラグア)、ホセ・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)など強豪揃いのため、年末の井岡一翔(Ambitionジム)戦は海外でも注目されるに違いない。井岡vs田中戦の勝者には、アメリカでビッグファイトに臨む現実的なチャンスがある。
一方で、スケールの大きさを感じさせる中谷潤人の今後も楽しみだ。
11月に世界王者になったあと、やはり『リングマガジン』のランキング選考委員を務めるアンソン・ウェインライト氏は、「中谷は世界最高のフライ級ボクサーに成長していくと思う」と語った。アメリカでは、フライ級以下のボクサーの需要が高くないが、中谷は骨格的に上の階級でも活躍できそうなのも魅力。アメリカでの練習経験も豊富とあって、すぐに大手プロモーターから興味を持たれても不思議はない。
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