日本レスリングが最大級のピンチ。スパーリングできない影響は海外よりでかい (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO


 外国人選手の多くは、スパーリングを数本こなすと疲れ果てて、早々と練習場から引き上げていく。一方、海外のナショナルチームの練習に参加した日本人選手たちが「スパーリングの時間が短くて、物足りなかった」と言うのはよく聞く話だ。

「スパーリングでは、レスリングで勝つための体力やスタミナがつきます。それは言わば"レスリング力(ぢから)"というもの。実際、走るなどの持久力が高くても、スパーリングや試合となるとすぐにへばる選手はいますから。

 試合はずっと同じリズム、テンポで動くわけではありません。ここぞという時に力を出して、攻め込んだり、守ったりしなければならない。自分のペースではなく、相手に動かされることもある。相手に当たったり、技をかけて力を振り絞る時も、その瞬間、瞬間に体力が必要です」

 日本人選手はこうしてスパーリングを重ねていくことで、体格で勝る外国人選手と互角に張り合えるようになり、リオデジャネイロオリンピックまでに金メダル32個、銀メダル20個、銅メダル17個、計69個のオリンピックメダルを獲得してきた。

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る