2020.01.07

川井梨紗子が貫く信念。
レスリングの「最強エース」は攻め続ける

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

東京オリンピックで輝け!
最注目のヒーロー&ヒロイン
レスリング 川井梨紗子 編

 リオデジャネイロオリンピックで金メダルを獲得したのち、翌年から世界選手権を3連覇——。今や日本女子レスリングの最強エースであり、6人の代表選手をリードする頼もしいキャプテンとして、57キロ級の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)は2020年の東京オリンピックを迎える。

 ただ、そんな彼女も4年前のリオでは、5番手の選手に過ぎなかった。

2020年の東京オリンピックで2連覇に挑む川井梨紗子 それまでのトップ2はもちろん、伊調馨と吉田沙保里のふたり。「金メダル獲得確率100%」とまで言われるほど実力の抜きん出ていた両者は、長きにわたって日本女子レスリング界を引っ張ってきた。

 このふたりの”絶対女王”に次いでリオで期待されていたのは、早くから「吉田二世」と称され、世界選手権3連覇中の登坂絵莉(東新住建)。そして、吉田の父・栄勝に幼少時代からタックルを叩きこまれ、史上最年少16歳6カ月で全日本選手権を制した土性沙羅(東新住建)だ。

 当時の川井の評価は、彼女たちよりも下だった。オリンピック前年の世界選手権は初出場ながら準優勝したものの、決勝ではモンゴルのバトチェチェグ・ソロンゾンボルトにパワーで圧倒されてフォール負け。まだまだ世界との差があることを露呈し、「リオではメダルに届けば……」というのが大方の予想だった。

 ところが、63キロ級で出場したリオ本番では、4試合で失点わずか2。準決勝では強敵ロシアのインナ・トルスコーヴァにテクニカルフォールで勝利し、決勝戦でもベラルーシのマリア・ママシュクを6−0で破るなど、最後までまったく危なげない試合運びで金メダルに輝いた。

 オリンピック4連覇を狙った吉田は銀メダルに終わり、金メダルを獲得した伊調、登坂、土性も決勝戦では終了間際の大逆転で薄氷の勝利。川井の安定した強さだけが際立っていた。

 勢いそのままに、川井はオリンピック翌年の世界選手権、さらには2018年の同大会も制して連覇を達成。すると、一大決心をした。