2019.12.24

リオ五輪の金、銀メダリストが涙。
レスリング東京五輪への道は超熾烈

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 12月19日~22日、暮れの風物詩となりつつあるレスリング天皇杯全日本選手権が東京・駒沢体育館で開催された。

 2020年東京オリンピック"最後の代表選考会"となった今大会。地元開催のオリンピックを目指す選手たちによる代表争いの熾烈さ、日本レスリングの層の厚さをあらためて教えてくれたのは、リオデジャネイロオリンピックで活躍した若きメダリストたちの相次ぐ敗退だった。

リオ五輪で金メダルに輝いた登坂絵莉も東京五輪の切符は得られず 彗星のごとく現れ、学生ながらリオ前年の全日本選手権を制すると、勢いそのままにオリンピック本番で銀メダルを獲得――。太田忍(ALSOK)は「東京オリンピックこそ金」と大いに期待されていた。

 だが、本来のグレコローマンスタイル60キロ級は、代表争いで太田に勝った文田健一郎(ミキハウス)が9月の世界選手権で優勝を飾り、早々とオリンピック代表に内定。太田はやむなく67キロ級にアップして再挑戦となった。

 しかし、決死の覚悟で挑んだ全日本選手権で、まさかの初戦テクニカルフォール負け。7キロの増量について「体調は万全」と語っていたものの、人生初の1回戦負けを喫し、「東京オリンピックの"と"の字もない。何から考えていいのかわからない」と試合後は呆然としていた。

 また、女子でも衝撃的な出来事が起きた。

 世界選手権で3連覇を成し遂げ、翌年のリオでも金メダルを獲得――。"吉田沙保里の妹分"として一躍、国民的ヒロインとなった登坂絵莉(東新住建)も、東京オリンピック行きが消滅した。

 今大会前、女子50キロ級は須崎優衣(早稲田大)、入江ゆき(自衛隊体育学校)、そして登坂による「三つ巴の戦い」と報じられていた。しかし、登坂は6月の全日本選抜選手権で須崎にテクニカルフォール負けしたのに続き、今大会の準決勝でも須崎相手にまったく攻めることができず、0-6の完封負け。「これがいっぱい、いっぱいだった。終わったな......」と涙を流した。

 また、登坂と同じくリオで金メダルに輝き、今後の日本女子レスリングを引っ張る存在として期待されていた女子68キロ級の土性沙羅(東新住建)も、この全日本選手権で下剋上を食らった。