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村田諒太の空前のビッグマッチに現実味。
本命カネロ、次候補ゴロフキン

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • 山口裕朗●撮影 photo by Yamaguchi Hiroaki

 日本のヒーローがついに重要な階段を上った。母国のボクシングの歴史を語る上で、極めて重要な意味を持つ一歩を踏み出した。

 12月23日、横浜アリーナで行なわれたWBA世界ミドル級タイトル戦で、王者の村田諒太(帝拳ジム)が挑戦者スティーブン・バトラー(カナダ)に5回2分45秒KO勝ち。今年7月にロブ・ブラント(アメリカ)から奪還したタイトルの初防衛に成功し、2019年を2戦2勝(2KO)で締めくくった。

KO勝利でタイトル防衛に成功した村田KO勝利でタイトル防衛に成功した村田「(今後は)プロとしてわかりやすい試合をしないといけない。『チャンピオンが何人いるんだよ』と。でも、マッチメイクはそんな簡単なものではない。ミドル級は動いているお金もとんでもないので、現実を見ないといけない」

 試合後、リング上で、そして控え室で、村田は少々控えめながら次戦での"ビッグマッチ"を切望した。人気階級ならではのマッチメイクの難しさを慮った村田らしいコメントだったが、それに続いた米最高級のプロモーター、ボブ・アラム氏の言葉はより明快だった。

「東京五輪の前にサウル・"カネロ"・アルバレスか、トリプルG(ゲンナディ・ゴロフキン)を日本に招へいし、村田と戦うビッグマッチを東京ドームで開催できたらいいと思っている」

 カネロ、ゴロフキンといえば、現在の世界ボクシング界で最高級の興行価値があるトップボクサーたち。そんな英雄が東京五輪を前に来日し、ロンドン五輪金メダリストでもあった村田と激突する。実現すれば紛れもなく"メガイベント"になる興行が計画されているというのだ。

 ここまでの経緯は、すでに日本のメディア上でも盛んに伝えられているが、まだ懐疑的なファンも多いだろう。

 カネロは昨年、スポーツ動画配信サービスのDAZN USA(以下、すべてDAZN)と、11戦3億6500万ドル(約410億)という超大型契約を結んだばかり。ゴロフキンも同じくDAZN傘下で、契約内容は発表されていないものの、6戦で総額1億ドル以上という好条件のようだ。これほどの額を稼ぐスーパースターたちに、どうやって日本で試合をさせるというのか。

 しかし、状況を見ていくと、2大スターの日本招へいは決して不可能ではない。それどころか、バトラー戦前の記事で『ロサンゼルス・タイムス』のディラン・ヘルナンデス記者が述べていたとおり、「実現しなかったらそっちのほうが驚き」とすら言えるかもしれない。

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