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パワハラ問題を乗り越え、伊調馨が復帰。
前人未踏の道へ腹をくくった (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 12月の全日本選手権で優勝し、さらに来年6月の全日本選抜選手権で優勝して世界選手権の代表に選ばれ、2019年9月の世界選手権では東京オリンピック出場権を獲得する。それとともに、「世界にどんな選手がいるのか、自分が実際に戦ってみて確かめる」。伊調が復帰のリミットを決めたのは、このような青写真を描いているからだ。

 今大会後、伊調は2年後の東京オリンピックについて、このように心境を語った。

「(34歳という)年齢も年齢なので、『東京オリンピックを目指す』とは簡単には言えない。それ相応の覚悟がないと、生半可な気持ちでは目指せないのがオリンピックなので。絶対崩れないような気持ちをつくっていって、(東京オリンピックを目指す)という発言をしたい」

 今年2月の独占インタビューで伊調は、「漠然と『選手に戻る』ということはありません。戻るとしたら100パーセント、腹をくくったとき。それがいつなのか、きっかけが何かの出来事なのか、誰かの言葉なのか、大人か子どもか、はたまたモノなのか......。今はまったくわかりませんが、"コレ"ということ、モノ、人があれば」と、言葉をかみしめるように語っていた。

 最愛の家族、青春時代ともに汗と涙を流してきた仲間、自分のことを信じて応援してくれる友人、苦境のなかで支えてくれた会社の同僚たち......。彼らが見守る前で、伊調馨は今、立ち上がった。前人未到の険しい道を進んでいくために。

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