レスリング「栄監督解任の影響説」払拭へ、
川井梨紗子は勝つしかない (3ページ目)
とはいえ、川井自身は「体重うんぬんは関係ない。どちらの階級でもやれると思っている」と語るように、今回はモンゴルの選手のほうが「勝利への執念が強かった」と言う。オーコンにとっては、自分の得意としている階級であり、世界王者としての意地があったに違いない。一瞬の隙を気迫あるプレーで突かれ、川井は土をつけられた。
しかし、川井のメンタルも決して弱いわけではない。準決勝で敗退したあと、悔しさであふれる気持ちを抑え、次の3位決定戦に向けてのウォーミングアップの際、負けた相手のオーコンに打ち込みの相手を頼んだという。
「自分からお願いしにいきました。モンゴルの選手も優しい方なので、相手をしていただけました。打ち込みのつもりでやっているはずが、段々お互いバチバチで、スパーリングみたいになっていて。
そういう負けず嫌いなところとか、最後は絶対、自分が上になって終わるっていう貪欲さとか、打ち込みのわずかな時間でも相手の強さを感じられました。自分も負けず嫌いな気持ちは強いほうだと思っていたし、試合ではレスリングをできているほうかなと思っていたんですけど......ダメでしたね」
今大会、女子はどの階級もモンゴル、北朝鮮、インドなどの選手が成長著しく、決勝に名を連ねることが多かった。女子レスリングは日本のお家芸であったはずだが、今回に限っていえば、影を潜めてしまった印象だ。
東京五輪まであと2年。アジアではぶっちぎりの実力があり、追われる側だった日本と、他の国との差は思っている以上になくなってきている。川井は言う。
「2年後に向けてというよりも、私は1年1年、大事にしているつもりです。今年も来年も世界選手権があるし、全日本選手権もある。もちろん、最終的にはオリンピックを目指してやっていますけど、私は常に目の前のことを一生懸命やっているつもりです。
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