ファンの夢「ゴロフキンvs村田諒太」は実現するかを検証してみた (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 このカードの実現に向けてのポジティブな要素は少なくない。

1.カザフスタン出身の王者は過去にモナコ、イギリス、デンマーク、ドイツ、ウクライナでも戦うなど、アメリカ以外での試合に抵抗がない

2.外国選手としては人気者のゴロフキンも、米国リングで常に超巨額のファイトマネーを稼ぐわけではない。直前に決まったマーティロスヤン戦での報酬は100万ドル(約1億900万円)。ファイトマネーは日本側が支払える範囲内に収まる

3.世界的に尊敬を集める帝拳ジムの本田明彦会長は、米国内のすべてのプロモーター、テレビ局と良好な関係を築いている
  
 逆に気がかりなのは、ゴロフキンはプレミアケーブル局のHBOと密接に繋がり、一方の村田を擁するトップランク社はESPN と独占契約を結んでいることだ。スポーツ界では今も昔もテレビマネー次第のところがあり、この所属局の違いはマッチメイクに響きかねない。

 ただ、ローフラーに直接尋ねると、この件もいわゆるディール・ブレイカー(破談に繋がる要素)にはならないという話だった。

「私たちは、ミスター本田とはとても友好的だ。理に叶うファイトであれば解決策を見つけるよ。ゲンナディはHBOと複数戦契約を結んでいるが、東京ドームでの開催ならとてつもないイベントになるからね」

 最近のHBOは資金難に悩まされており、高額報酬が必要なスターを抱えるのが難しくなっている。アメリカ人に比べてファイトマネーが比較的安価なゴロフキン、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)、セルゲイ・コバレフ(ロシア)のような外国人選手に触手を伸ばしたのにはそういった背景もあった。このような状況下ゆえに、あくまで日本での村田戦限定で、「ゴロフキンのESPNへのレンタルをHBOは承諾するだろう」という考えがローフラーにはあるのかもしれない。

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