井上康生「新ルールになっても、一本を狙う日本柔道は変わらない」 (3ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa yuji
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

── 2月の欧州遠征には阿部一二三選手や飯田健太郎選手を派遣します。彼らはすでにシニアでの実績がありますが、東京五輪を見据えて若い選手に経験を積ませるような選手派遣も行なっています。

「私は選手を選考する上で、若いとかベテランだとか中堅だとか、そういう年齢の枠組みというのはいっさい取り払っています。誰にでもチャンスがあるわけです。ただ、たとえば飯田に関して言えば、昨年、世界ジュニアやロシアジュニアに派遣し経験を積ませた。その後、シニアの講道館杯やグランドスラムで結果を出した。順調に成長し、結果も残していますから、次のステップとして、海外のアウェーのなかで戦いを経験させたいというだけです。純粋にどん欲に柔道と向き合っている選手に対しては、チャンスを与えながら能力を伸ばしていきたい。それは全選手を対象に考えていることです」

── 柔道は競技人口の減少が叫ばれています。監督は柔道教室などにも参加し、子どもたちに指導を行なっていますが、ジュニア以下の柔道界についてどのような印象を持っていますか。

「ありがたいことに、私が参加する柔道教室では多くの子どもたちが参加してくれて、目をキラキラさせて柔道に取り組んでくれますから、競技人口の減少はあまり感じません。ただ、データでは明らかに競技人口は少なくなっていますし、大きな課題です。すぐにでも手を打たなければならない。数多くの子どもたちが柔道に触れ、柔道を続けようと思ってもらうためにも、全日本チームとしても魅力ある柔道を徹底しなければならないと思います」

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