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甘酸っぱい銅メダル。野獣・松本薫が語った「リオ五輪の悔恨」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by JMPA

 準々決勝は柔道大国フランスのオトーヌ・パヴィアが相手。お互い決め手に欠く展開で、2度も2分間のゴールデンスコア(延長戦)に突入し、最後は松本の袖釣り込み腰が決まった。

 準決勝までのインターバルに、この日、観戦に訪れていた同じ57kg級の次世代のホープ、芳田司(コマツ)に話を聞く機会があった。松本のすごさを彼女はこう話していた。

「ご自身の雰囲気を作るのがすごく上手。戦う者としては、それに飲まれないようにしなきゃならない。粘り強く相手を追うし、だから準々決勝みたいに最後の最後、決めきれるんだと思います」

 準決勝の相手であるドルジスレンは、世界ランキング1位の強豪で、松本の対抗馬と目され、この試合が事実上の決勝戦と言われていた。

「研究されるのは当たり前のこと。これまで何度も戦っているし、五輪だから相手の技のキレが鋭いということもない。ただ、何がなんでもメダルを獲りに行くという執念には違いを感じました」

 わずか24秒での一本負けは、松本にとって屈辱だったに違いない。だが、潔く敗戦を認めた。悔いが残るとすれば、ここまで金メダルがゼロに終わっている女子の流れを食い止められなかったことだ。

「柔道は個人戦だけれども、団体戦のつもりで戦っている。みんなで金メダルを獲りに行くという気持ちだったし、彼女たち(銅メダルに終わった近藤亜美や中村美里)が届かなかった分まで、決勝まで行こうという思いが力になっていたから......」

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