長いトンネルを抜けたベテランたち。柔道ニッポンへ復活の兆し (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

 一方の近藤は「勢いのある元気な柔道をやろうと思ったが、浅見さんの方が一枚上手だった。攻めに行ったが、組み手は浅見さんの方が上で思うような柔道が出来ずに有効を取られてしまった」と悔し涙を流した。

「ヨーロッパの試合を経験して勢いだけでは勝てない部分はあるし、まだアスリートとしての自覚も足りないと思った。技術的にももっと練習して、自分もシニアですと胸を張って言えるようにしたい」

 こう話す近藤は、「一流の選手が相手だと技もまだまだ掛からないが、今回は投げてポイントを取ることを目標にして1回戦ではそれが出来たし、2回戦もポイントにはならなかったが大外刈りが入ったところは進化していると思う」と手応えを得ていた。

 2日目の男子66kg級は、3度の世界王者を経験している海老沼匡(パーク24)が勢いを復活させた。昨年のGS東京の準決勝では講道館杯で優勝した高校生の阿部一二三(神港学園神港高)に逆転負けを喫し、3位決定戦では同年の世界選手権5位だった高市賢悟(東海大)に敗れて5位になった海老沼。

「GS東京では自分が思い上がっていたことを思い知らされた。あの惨敗のあとはずっと自分と戦って、どうやれば強くなるか、どうやれば勝てるかを考えた。そして持つべきプライドと捨てるべきプライドは何かと考え、すべてをリセットしてスタートしました」と語る。

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