陸上・男子短距離がリオ五輪メダル獲得のために、見直すべき現実

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 中村博之●写真 photo by Nakamura Hiroyuki

8月特集 リオ五輪まで1年、メダル候補の現在地(11)

 世界選手権8日の午前、男子4×100mリレーは予想外の予選敗退。その兆候は3日前の男子200m準決勝からうっすらと見え始めていた。

今大会、短距離界で唯一しっかりと足跡を残したサニブラウン・アブデル・ハキーム今大会、短距離界で唯一しっかりと足跡を残したサニブラウン・アブデル・ハキーム 大会初日の男子100mでは高瀬慧(富士通)が10秒15を出しながらも、各組3着以下で記録上位3名が進出できるプラス3枠に、0秒03だけ足らず準決勝進出を逃していた。

 予想以上のレベルの高さは200mでも同じだった。25日の予選では藤光謙司(ゼンリン)が20秒28、サニブラウン・アブデル・ハキーム(城西高)が20秒35の2位で準決勝進出を決めたが、強敵が揃った第2組の高瀬は20秒33で走っても4位。プラス枠の3番目でギリギリの準決勝進出となった。

「僕の組の上位3人は決勝の常連の選手。その中で3着以内に入って準決勝進出を決めれば、決勝にはグッと近づけると思って臨んだ。前半の走りはすごく良かったが、直線に入ってから置いて行かれて最後は競り負けた」

 こう話す高瀬は直線に入った時には2番手だった。だがそこで「着順でいける」と思って硬くなってしまい、小さな走りになってしまい、追い上げてきたクリストファ・ルメートル(フランス)に競り負けたのだ。

 翌日の200m準決勝は第3組で、下位進出だったために9レーンまで使う中で最も内側の2レーン。藤光も同じ組の上、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)や20秒04、20秒05を持つ選手たちと同じ組。前半は積極的に突っ込んだが、そこで力を使ってしまい20秒64で最下位に終わった。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る