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【男子バレー】世界バレー予選敗退でティリ監督を直撃 西田有志、関田誠大の不在の影響は? (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

「そうは思わないよ。彼らは確かにここにいないけど、我々にはここでプレーしている選手たちがいるからね。それは言い訳にもならない」

 ティリ監督は笑みを失わずに答えた。彼の言うとおりだろう。男子バレーは強くなって新しい扉を開いたからこそ、批判も浴びる荒波に躍り出たのだ。

 ここ数年、男子バレーが人々を魅了してきたことは間違いない。

 たとえば、今年5月に発売した髙橋藍が表紙のスポルティーバのバレーボール特集号は、東南アジアで飛ぶように売れたという。大人気バレー漫画『ハイキュー??』とのコラボだった影響は大きいが、まさに漫画から飛び出したような日本人選手たちが人気を博している。たとえ小柄でも創意工夫やチームワークで「ボールを落とさない」という絆に、海の向こうの人々が共感しているのだ。

 日本人選手の注目度の高さは、フィリピンの会場でも強く感じられた。

「YUKI!」「RAN!」「TAISHI!」「KENTO!」......サーブのたび、ファンは選手の名前を呼び、決まると大歓声が起こった。それは同じ日本人として肌が粟立つ光景だったが......。

「この負けた気持ちを絶対に忘れてはいけない」

 髙橋は憤然と語っていた。

 世界バレー、最後のリビア戦がリスタートとなる。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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