【男子バレー】小川智大が思う世界に勝つために必要なこと 「真剣にやる楽しさ」を見つけて世界屈指のリベロに成長 (2ページ目)
【本当にバレーを"楽しい"と思った時】
小川は嘘がなく、正直で、ひとつひとつのことに真剣である。
――バレーの面白さとは?
何気なく投げたそんな質問にも、彼は思考を巡らし、丁寧に言葉を選んで答えた。
「うーん......バレーって失敗が許されないスポーツなんですよ。サッカーや野球って、点数を決めたらヒーローじゃないですか? でも、バレーは決めるのは当たり前。1、2、3とパスをつないで、基本的に3の選手が決めるんですけど、1、2のところはしっかりつなげないといけない。そこのミスは命取りです。その点、悲観的になりやすいスポーツだと思うんですよ」
彼は話しながら考えを整理するように、さらに続けた。言葉の紡ぎ方は哲学的だった。
「サイドアウト(サーブレシーブ側のチームがラリーを制して得点を取ること。サーブ側のチームが得点を取るのがブレイク)ってあるじゃないですか? バレーは"サイドアウトをしっかりと取ること"を積み重ねていくスポーツだと思っているんです。自分は"きちっとやれるか"というのが好きで、サイドアウトをキチキチって取る感じが、けっこう好きですね」
もっと言えば、そこにある駆け引きが好きなのだろう。彼は結論につなげた。
「相手が"この瞬間に何を考えているのか"っていうのを、ずっと頭の中で考えるのが楽しいですね。たとえば、"この前は、サーブをここに打ってきた"と覚えておいて、計算する。そこで"俺がこう動いたのを見ているはずだから、こっちの選択肢を選ぶかな"って予測が当たった時とか、"気持ちいい瞬間だな"って感じられますね」
小川は、思考の先にあるプレーの自由さを愛するリベロだ。
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