検索

【木村沙織インタビュー】「ある日の試合に知らないおじさんがいて...」バレーボール大好き少女の人生を変えた出会いと言葉 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【「知らないおじさん」の言葉で道が開けた】

ーー小学生時代のプレーが話題になって、名門・成徳学園中学からスカウトされたのでしょうか?

 あきる野は東京の端っこにあるのですが、そんなところまで成徳中バレー部の安藤美純(よしずみ)先生が試合を見に来てくださいました。でも当日は知らされていなくて、「お客さんが来るチームじゃないのに、誰だろう......このおじさん」ってみんなが思っていました(笑)。

 あきる野のクラブの先生はウォーミングアップから独特で、ストレッチから始めるのではなくて、木の棒を床に置いてその上で目をつぶってバランスを保ちながら歩くということをしていたんです。そこでその知らないおじさんも一緒になってトレーニングに参加していて、「誰? 誰?」ってずっとざわざわしていました。

ーー成徳中としては、木村さんをそれだけの逸材だと考えてやって来ていたんでしょうね。

 どうですかね、そのへんはわかりませんが、小学6年の時に私たちのクラブが最後の都大会で優勝したんです。その時に見に来てくださったそうです。そのあとすぐ練習を見に来てくれて、「よかったら中学の全国大会優勝を一緒に目指しませんか? 全国1位になりませんか?」って声をかけてもらいました。

 当時は、「えっ?」っていう感じでした。そんなことを考えたこともなくて、地元の公立中学へ行く気満々だったので。安藤先生の言葉がきっかけで、強豪である成徳中へ通うことになって、バレーの道が開けていった感じでしたね。

ーーそれ以前は「バレーボール選手になる」という将来を思い描いていたわけではなかったんですか?

 将来もずっとバレーをしていこうとは考えていなかったです。成徳中に行ったことがきっかけでしたね。あきる野のクラブの同じ代の当時のキャプテンで、一緒に成徳中へ行った「めぐ」って子がいたんですが、彼女の存在も大きかったです。もしひとりだったら、成徳で挑戦してなかったかもしれません。

「どうする?」「行くんだったら行く」ってお互い話しながら、めぐは行く気だったので、「じゃあ私も」って。下北沢にある成徳までは、自宅から電車で1時間半くらいかかったので、ふたりで行くことがあと押しになったと思います。

ーー成徳中への進学が、先生やチームメイトなど人に恵まれ、導かれるようなバレー人生の始まりだったんですね?

 人生のなかで、そう感じた瞬間は多いですね。

中編につづく

【profile】
木村沙織 きむら・さおり/1986年生まれ、東京都出身。2003年、アジア選手権で代表デビュー。2005年、東レアローズに入団。2012年ロンドン五輪で銅メダル獲得。2012年に世界最高峰リーグであるトルコの「ワクフバンク」に移籍し、ヨーロッパチャンピンズリーグ優勝を経験。2016年リオデジャネイロ五輪でキャプテンとしてチームを牽引した。2017年に引退。現在は、子育てとともにメディア出演などマルチに活躍する。夫は元バレーボール選手の日高裕次郎氏。

集英社の部活マンガ公式サイト「部活やろうぜ!」集英社の部活マンガ公式サイト「部活やろうぜ!」

W杯ヨーロッパ予選、クラブW杯
2025明治安田Jリーグ、セリエA、ラ・リーガ、リーグ・アン、ベルギーリーグはDAZNでライブ配信!
DMM×DAZNホーダイ」なら1,270円お得!

>>> DMM×DAZNホーダイ に今すぐ登録 <<<

U-NEXTでE-1選手権、プレミアリーグ、ラ・リーガ、FAカップやコパ・デル・レイなど配信
下記リンクよりお得に「サッカーパック」を視聴!

>>> 「U-NEXT サッカーパック」をいますぐチェック <<<

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

フォトギャラリーを見る

2 / 2

キーワード

このページのトップに戻る