「二刀流」水町泰杜がビーチバレーで感じる成長 海外勢の試合からも吸収して「もっと強くなりたい」 (3ページ目)
【海外勢の試合の見方に変化】
WUGでは最後、黒澤がコンディション面に不安を覚えたため17-20位決定戦を棄権し、最終成績19位(24チーム中)でフィニッシュ。水町は「孝太も大学生活が残り半年ありますから。無理をさせられません」と受け止め、「ビーチバレージャパンJVA第39回全日本ビーチバレーボール選手権大会」(8月11日~13日)に目を向けた。
一方で、「世界の選手たちを前にプレーできる」と胸を弾ませていたWUGは、より自身の成長意欲をかきたてるものとなった。
実際、予選グループで対峙したフランス代表ペアや、結果的に大会を制することになるドイツ代表ペアは、昨年の「2024 FISUビーチバレーボール世界大学選手権」で上位になった面々であり、大会に出場した水町もその力量を直接目にしてきた。今回も、フランス代表ペアのひとりであるジョワデル・ガルドゥケが、決して長身ではないながら機動力と跳躍力を生かして得点を重ねる姿を自分に重ね、「彼のようにサイドに回り込んで打つ。頭のなかでイメージはできているんですけどね......できない(笑)」と悔しげに語った。
また、男女の決勝を観戦し、「レベルの高い試合だと、最初はショットが多くて、途中から強打が増える気がします。まだまだ自分は組み立てどうこうではなくて......。"打てるボールは打つ"。それだけです」と分析する。声のトーンを上げて話す様子からは、ビーチバレーボールに夢中になっていることが存分にうかがえた。それは水町本人も自覚している。
「去年だと、海外勢の試合を見ていても、ただ『すごい』としか思わなかった。でも、今は自分に取り込もうとしたり、何がすごかったのかを考えながら試合やプレーを見られるようになっているんです」
決勝後、ビーチバレーボール競技の男女WUG日本代表選手団による食事会が、会場近くのレストランで催された。同会場では、金メダルを首にかけた男子のドイツ代表ペアが、関係者たちと喜びに浸っていた。自国開催での優勝。その光景を眺めながら、水町はこう語った。
「絶対に気持ちいいですよね......。自分はもちろん、どの大会でも優勝を目指していますけど、そろそろ勝ちたいです。まだまだキャリアも浅いし、そう簡単ではないのは承知の上です。でも、獲りたいものは獲りたい! そこにベテランも若手も関係ないですし、二刀流をしている自分がタイトルを手にすればインパクトもある。だから、もっとうまくなりたいし、もっと強くなりたいです」
うらやましそうに、それでいて言葉に力を込める。その瞳は、水町の愛称でもある"太陽"のごとくギラついていた。
【プロフィール】
水町泰杜(みずまち・たいと)
2001年9月7日、熊本県生まれ。身長181cm、体重82kg。小学1年生でバレーボールを始め、中学・高校では全国大会に出場。鎮西高校では1年生でインターハイ・春高優勝、2年生で春高ベスト4、3年生では春高ベスト8。その後、早稲田大学に進学し、全日本インカレで優勝。4年生では春季リーグ・東日本インカレ・秋季リーグ・全日本インカレの4冠を達成した。卒業後はSVリーグのウルフドッグス名古屋でプレー。プロ1年目からアウトサイドヒッターとして活躍し、チームの5位入賞に貢献した。さらにインドアと並行し、2024年5月からはトヨタ自動車ビーチバレーボール部でビーチバレーに本格挑戦している。
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