「二刀流」水町泰杜がビーチバレーで感じる成長 海外勢の試合からも吸収して「もっと強くなりたい」 (2ページ目)
しかしWUGを前に、水町はインドアのWUG日本代表の事前合宿に参加する関係で、7月5日の「ジャパンビーチバレーボールツアー第5戦グランドスラム横浜赤レンガ倉庫大会」を最後に、黒澤と練習することができなかった。それは二刀流ゆえの"弊害"とも言えるが、水町自身はポジティブに捉えていた。
「(黒澤)孝太も今はインドアで大学リーグを戦っているので、僕も同じような経験をしています。慣れている、わけではないですが、それも踏まえて『やれることをやるだけだ』と考えています。それに孝太も僕も、実戦を通してレベルアップしていくタイプなので。どんどん大会本番でも経験を積み上げていきたいです」
その言葉どおり、WUG本番では勝ち星が遠くても、常に前向きな姿勢を崩さなかった。
現地時間7月22日、予選グループ2戦目のスロバキア戦で、黒澤はサーブレシーブに苦しんで試合後に涙を流した。そこでも水町は、「競技歴では僕のほうが下ですが、年齢はこちらが上なので」と、持ち前の明るさで相方を支えた。
そして翌日、3戦目のリトアニア戦では、黒澤が「もうやるしかない」「とにかく全力でやるんだ」と精神面で持ち直し、攻撃的な姿勢を見せる。フルセットにもつれた最終第3セットでは、ビハインドから同点に追いつくアタックを決めるや否や「カモーン!!」と雄叫び。それに対して水町も「孝太、カモーン!!」と笑顔で呼応した。
「真面目で、素直なところが彼のよさ。でも意外とよく話すタイプ」という相方がコート上で発した気迫に、水町も「ああいうのがね、うれしいんです。ぎゅっと萎縮するのではなく、力を抜いて孝太もプレーできていた証だと思います」と喜んだ。
日本人同士でペアを組み、関係性を作りあげていくこと。それもまた、水町にとっては学びになっている。
「孝太のよさを殺さずに、いいところを引き出すためにはどうすればいいか。それはつき合っていくなかでつかめてきたと思います。でも、やはり難しいですよ。ふとした言葉でネガティブにさせてしまったり、冗談のつもりでちょっかいをかけて『あぁ、今のは傷つけたな』と感じることもありますから。
ペアの性格によってアプローチの仕方は違ってきますし、その線引きが孝太とはだいぶできてきたと感じます。僕も学びながら、孝太の人間性を加味しながらやるようにしています」
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