【ハイキュー‼×SVリーグ】埼玉上尾の岩澤実育は「地味な動き」でチームを助ける 『ハイキュー‼』で刺さったのは顧問の言葉 (2ページ目)
おでこに垂らした巻き毛を揺らし、岩澤は言う。
「あまり目立たなくても、"そこの一本がなかったら、この点数がとれない"というプレーが大事で。たとえば、ブロックフォローにしっかり入っていたから、スパイカーがまた同じところに打てる。カバーに入っていたから、スパイカーが一歩早く助走に入れる、とかですね」
岩澤は、今やSVリーグでも指折りのリベロと言える。昨年には日本代表にも選出された。実直なプレーが評価されたのだ。
彼女には過去最高、会心のレシーブがある。
名門・下北沢成徳高校に入学し、2年生で挑んだ春高バレーの決勝だった。味方がレシーブしたボールがフェンスを越える。しかし彼女は諦めずに追いかけ、フェンス外で必死にカバーした。結局、それは失点になったが、諦めずに食らいついたことでチームを奮い立たせた。結果は優勝だった。
「そのカバーの瞬間は、今でも鮮明に覚えています。派手なスパイクレシーブではないですけど。だからこそ、自分のプレースタイルが詰まっていると思います」
岩澤は、リベロの自負を笑みに滲ませた。
【岩澤が語る『ハイキュー‼』の魅力】
――『ハイキュー‼』、作品の魅力は?
「『ハイキュー‼』って現実に近いですよね。バレーを始めるきっかけになるし、やっていて参考になるところもある。とにかく人間関係がいいんですよ。何がというより、全部が魅力です!」
――共感や学んだことは?
「西谷(夕)が、(東峰)旭さんが伊達工にブロックされまくって部活に来なくなってから、ひたすらブロックフォローの練習するんですよ。ブロックフォローの練習ってあまりやらないし、流れでしちゃうんですけど、西谷は傷を作りながらフォローの練習をして、"旭さんを助ける"って。こう話しているだけで、鳥肌が止まりません(笑)」
――印象に残った名言は?
「顧問のたけ(武田一鉄)ちゃんが、いいこと言うんですよ。国語の先生だから言葉のチョイスとか、バレー経験者じゃないからこそ刺さるものがあって。インターハイ予選で青葉城西に負けた後、影山(飛雄)と日向(翔陽)は頑張っても負けは負けって感じになっていたのが、タケちゃんは、『"負け"は弱さの証明ですか? 君たちがそこに這いつくばったままなら それこそが弱さの証明です』って諭すんです! いつも優しいのに、この時はきついこと言うんですが、そこがたまらない(笑)。
たけちゃんはもう一個あって。日向が熱を出して、それでも試合に出たいっていうところで、『君こそはいつも万全でチャンスの最前列に居なさい』って諭して......思い出して泣きそうです(笑)。そこで影山が、いつものように『また俺が勝ったな』と言う。変に励ますんじゃなくて"勝負している"のが、仲が悪そうに見えてお互い尊敬しているからだなって」
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