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中垣内祐一が語る外国人監督が結果を残す理由「日本の指導は良くも悪くもガラパゴス化」 (2ページ目)

  • 楊順行●文 text by Yo Nobuyuki

「今回の日本の戦いを見て、あまりのうれしさに、フェイスブックに自分なりの感想を書きましたよ。それも5回も(笑)。それともうひとつうれしいのは、自分たちの時代より"会場に男性のお客さんが増えている"という声を聞くことですね。我々の時代、会場は女性ばかりでしたから」

"ガイチ"の現役時代のバレー会場は、それはもうすごかった。誤解をおそれずにいえば、アイドルのコンサートのようで、試合展開などそっちのけの歓声と「ニッポン、チャチャチャ」の拍手、それにストロボのシャワー。

 筆者などは試合後、「裏口に、タクシーを呼んでおいてくれませんか」と頼まれたことがたびたびある。むろん、体育館前で「出待ち」する女性ファンを避けるためだ。そこへいくと男性の観客が増加したというのは、スポーツとしてのバレーを楽しむ、いわば硬派なファンの目も引きつけたということだろう。これも、日本が強くなったことの証しだろう。

【米づくりと大学教授の二刀流】

 いま中垣内さんの日常は、基本的には朝5時起床、7時半に「農好社」(コメづくりは会社組織になっているのだ)に出社し作業の打ち合わせ。8時に福井工業大学に向かい、夕方5時半まで教授として教鞭を執る。大学と高校、学園全体のバレー部の総監督でもあり、多忙の合間をぬって田んぼでの作業をこなす。農繁期は大学の夏休みにあたるから、そのへんはうまく融通が利くようだ。

 この夏の日本海側は酷暑、あるいは水不足に悩まされたが、中垣内さんの田んぼ周辺は、九頭竜川からひかれた農業用水のパイプラインによって水不足とは無縁。すでに、約33ヘクタールほどの新米の収穫は無事にすませた。

「コメづくりについては、小学生時代からトラクターに乗って手伝っていましたが、本格的に始めたのは去年から。また大学の授業は今年からで、まず1年間は授業の準備が大変です。科目はキャリアデザイン、基礎健康科学、スポーツ施設論......など週に7コマ。得意分野ならまだいいんです。たとえばスポーツ施設。フロアの特性や維持管理のことなら、多少は知っていますから。ですがそれがプールや芝生についてとなると、一から勉強ですよ。

 その点、新しいことを知りたがる自分の性格が役に立っていますね。話す内容の重要性は、フィリップ(ブラン監督)から学んだことでもあります。自分が指導者の時、ミーティングでは出たとこ勝負で話し出すことも多かったんですが、彼は毎日話すべきことをメモに取り、確認しながら、事前にリハーサルまでやっていました。ですからミーティング内容には説得力があり、ロジックの破綻や大事なところの漏れなどもなくなるわけです。それは、授業の時にも大事な要素。話す内容を考えたり、スライドや動画をつくるのは一仕事ですが、若い学生と接するのが、だんだん楽しくなってきました」

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