春高バレーの優勝候補と注目選手をチェック。女子は大友愛の娘、男子は2m超えの左利きミドルブロッカーにも期待 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

 チームとしては、徳本歩未香(3年/152cm/リベロ)なども含めてアンダーカテゴリーの日本代表に5人が選出される層の厚さが強み。春高でダブルヘッダーになった場合は、他の高校にはできない選手の使い分けもあるかもしれない。総力を挙げて今季2冠目を狙う。

 国体優勝を果たした古川学園高校(宮城)は、昨年の春高は準優勝、2021年はベスト4だったこともあって「今年こそ優勝」という思いが強い。インターハイ終了後、岡崎典生監督はミドルブロッカーだった阿部明音(3年/172cm)をレフトにコンバートし、2年生の本田凛和(180cm)を新たなミドルブロッカーとして抜擢するなど思いきった策を講じ、ここに臨む。

 3年のタピア・アロンドラ(U23ドミニカ共和国代表/196cm/ミドルブロッカー)の高さは圧倒的。ドミニカ共和国出身の彼女はブロードを打ったことがなかったが、古川学園で学んでからは大きな武器のひとつになった。ミドルブロッカーではあるものの、レフト、ライト、バックからでもボールが上がれば打ち込むことができる。

古川学園3年の196cmミドルブロッカー、タピア・アロンドラ photo by坂本清古川学園3年の196cmミドルブロッカー、タピア・アロンドラ photo by坂本清この記事に関連する写真を見る 今回の春高は、母親が初めて来日するとあって特別な思いも。有観客試合は準決勝からのため、「準決勝までは絶対いかないと!」と心に決めている。その先に見せたいのは、もちろん日本一になった姿だ。

 もうひとり、女子の注目選手として挙げたいのが、共栄学園高校(東京)の秋本美空(1年/183cm/ミドルブロッカー・オポジット・セッター)だ。

 母はロンドン五輪銅メダリストの大友愛。春高予選では3位決定戦にまわり、勝てば春高出場、負ければ終わりという試合でのびのびと打ちまくり、チームを春高へと導いた。2021年度の全日本中学選抜認定選手で、2022年度のU18代表にも選ばれている。将来の目標は、母と同じ「オリンピックでメダルを獲ること」。後衛ではサーブレシーブに入り、セッターも経験するビッグルーキーが、春高のコートに立つ。

【著者プロフィール】
中西美雁(なかにし・みかり)

名古屋大学大学院法学研究科修了後、フリーの編集ライターに。1997年よりバレーボールの取材活動を開始し、専門誌やスポーツ誌に寄稿。現在はweb Sportiva、バレーボールマガジンなどで執筆活動を行なっている。『バレーボールスピリット』(そしえて)、『バレーボールダイジェスト』(日本スポーツ企画出版)、『球萌え。』(マガジンハウス)『全日本女子バレーコンプリートガイド』(JTBパブリッシング)などを企画編集。スポルティーバで西田有志の連載を担当

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