高校最後の国体を制覇→全日本へ。大林素子が驚いた名将のデータバレーと、いつもどおりプレーするための秘策 (4ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

 サーブの打つのは大学、大学院生の男子コーチたち。現在、国際武道大学バレー部の監督を務めている徳永文利さんや、元FC東京の総監督の吉田清司さん(今季から東京グレートベアーズのハイパフォーマンスアドバイザー)などが本気で打ってきましたから、なかなか終わらない時もありましたね。

 それが7時50分、8時ぐらいに終わったあとは床を雑巾がけ。それもトレーニングの一環でした。そこで朝練は終了です。その間、セッターはずっとひとりでトスの練習、レギュラー以外の選手は外でランニングやダッシュトレーニングなど、別メニューでした」

――朝からなかなかハードですね。そのあとは?

「朝練後に食事をとったあと、ミーティングのあとに全体練習が始まります。ただ、その日の練習はミーティングで発表されるまでわからないんです。ミーティングなしで『このメニューをやるぞ』とすぐに練習が始まる時もありましたが、そのメニューは毎日違っていました。

 だから、『今日は何やるの?』という緊張感がずっと続くんですよ。対人パス練習なんかも、ペアはもちろん変えるし、パスする場所も体育館の中で変えていた。決まったメニューや環境に慣れてしまうと"流れ作業"のようになってしまうことがあるので、山田先生はそれを嫌っていました。

 やることを固めすぎてしまうと、大会などいつもと違った環境で試合をすることが"特別"になってしまう。どんな環境で試合をしても、いつもどおりのプレーできることがベストですから、その意識づけという意味でもメニューや場所を常に変えていたんです。ただ、私がその意図を理解したのは、だいぶあとになってからでしたけどね」

(連載4:女子バレー全日本の徹底したソウル五輪対策。「仮想・ソ連」戦に負けたあと、ハサミとキリを持った指揮官の行動に絶句>>)

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