セリエAで自信を得た西田有志。「日本ぽくないバレーにも挑戦する必要がある」と代表チームのけん引役に名乗り (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by Italy Photo Press/アフロ

 シーズンを通して成長できた点についてはこう語る。

「イタリアに渡った当初より、筋肉もついて体重が5、6キロくらい増えました。日本人選手は、海外の選手に高さとパワーで負けていると言われていますが、高さはなんともならない部分があっても、パワーはそうじゃないという自信が持てましたね。その点は、海外選手との差が埋まりつつあるのかなと。

 攻撃面はより強力になったと思いますし、それを得点やサーブ効果率など数字として残せたのはよかった。ケガをしていなかったらもっとランキング上位に食い込めたと思うので悔しいですけど、しっかりと自分をコントロールしながらプレーできたと思います」

 西田が1年を過ごした街には日本料理の店がなく、帰国の際に食べた飛行機の機内食が久しぶりの日本食だったという。シーズン中もしっかり自炊し、日本食が恋しくなることもなかったようだが、「帰国後もあらためて日本食を食べて、『あぁ、自分は日本人やな』ってしみじみしました(笑)」と振り返った。

「この1年、いい意味で"海外"を感じられました。イタリアに行ったばかりの時は寂しくて自然と涙が出ることもありましたが、そこからチームに溶け込んでいったり、いろんな街を回ったり。街ぐるみでクラブを精一杯サポートするという、日本にはない光景も新鮮でした。

 日本語の応援ボードを出してもらえることもあった一方で、アジア人全体に対する"特別な見方"を感じることもありました。ただ、『これこそリアルな体験。これを乗り越えることがまた力になる』と前向きに捉えています」

 現在、日本代表は6月7日から始まるネーションズリーグに向けて準備を進めており、西田は第1週のメンバーに名を連ねた。その翌週以降も主力としての活躍が期待されるが、自らの役割について次のように語った。

「海外チームに、日本は強いという印象を与え続けたい。そのためには、アグレッシブにさまざまなことに取り組むことが大事だと思いますし、僕が先陣を切って、みんながアグレッシブにやれるようにしたいです。

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