女子バレー江畑幸子が語る、セッター佐藤美弥との秘話。よく対戦した小中時代、同じ学校に通った高校時代 (4ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari

 佐藤はその国体でバレーをやめるつもりで、江畑にも「あと少しでバレーをやめる」と話していた。江畑は「高校で終わるような選手じゃないのに......」と思っていたため、佐藤が嘉悦大学に進学を決めたと知った時には自分もうれしかったという。

 江畑は日立リヴァーレに入団し、チームでも日本代表でも活躍。ロンドン五輪イヤーの2012年、佐藤の日立入団が決まり、再びチームメイトとしてプレーするようになった。

「日立は嘉悦大学とよく練習試合をしていたので、話す機会などはあって、プレーを見ることも多かったです。高校の時は高いトスが得意だったのが、大学での4年で速いトスの精度も上がり、ミドルを効果的に使えるようになっていきました。もともといいセッターでしたが、日立でまた一緒になって、よりすばらしい選手になっていると実感しました。

 そのあとは私が別のチームに移って対戦をすることもありましたが、美弥の周りには常に人が集まっている印象がありました。それは信頼できる選手というだけでなく、美弥の人柄がそうさせていたんだと思います」

 そして今年、3月に引退を発表した江畑に続くように、佐藤も5月にユニフォームを脱ぐ決断を下した。佐藤は中田久美監督が指揮を執る日本代表の正セッター候補として期待されたが、足と腰のケガに悩まされ、2020-2021シーズンのVリーグでも思うようなプレーができなくなっていた。

「今年1月の試合で会った時、私も引退を決めていましたが、美弥も『今年いっぱいでやめる』と言っていました。美弥は高校の時から腰が悪かったですし、五輪前のシーズンにケガでプレーできないというのは本当に苦しかったと思います。私もそうですが、これからどういった形でバレー界に関わっていくのか楽しみです。思いやりのあるトスでチームメイトを助けてきた美弥ですから、きっと今後も周囲を明るくするようなことをしていくんじゃないかと思います」

(中編:竹下佳江の10cm変更トスに「すごい」)

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