2021.03.07

大友愛はバレー部の娘に伝えた。「比べられるのが嫌だったらやめていい」

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

『特集:女性とスポーツ』第8回
バレーボール大友愛 インタビュー(後編)中編から読む>>

 2012年のロンドン五輪で銅メダル獲得に貢献した大友愛は、翌年に現役を引退。現在は4人の子どもたちと多くの時間を過ごしている。一番上の娘は中学校のバレー部に所属しているが、どのようにその成長を見守っているのか。

笑顔で子どもたちの成長について話す大友愛さん photo by Matsunaga Koki笑顔で子どもたちの成長について話す大友愛さん photo by Matsunaga Koki この記事に関連する写真を見る ――大きなケガを乗り越えて出場した2012年ロンドン五輪。準々決勝の中国戦が大きなヤマだったと思いますが、選手たちの様子はいかがでしたか?

「中国にリードを許して追いかける形だったので、見ている方はハラハラしたでしょうね。でも、あの時にコートに立っていたメンバーは、『負ける気がしない』と思っていたはずです。国際大会で中国にはほぼ勝てていませんでしたが、(2010年の)世界選手権で銅メダルを獲得した自信もあって、『絶対にメダルを取れる』という雰囲気ができていました。相手との駆け引きも楽しくて、『あぁ、試合が終わっちゃう』という感情が芽生えていましたね」

――中国をフルセットの末に下し、準決勝でブラジルに敗れ、韓国との3位決定戦に回ることになります。

「ブラジル戦はまったく覚えていないんですが(笑)、韓国とは対戦成績もよかったですし、高い確率でメダルが取れると思っていました。私自身は絶不調だったんですけどね。中国戦で力を出し切ってしまった感じがありました。でも、『交代させられるかな?』と思ってベンチを見ても、眞鍋(政義)監督は動かなかった。一度引退した私を現役復帰に導いてくれたのは眞鍋さんですし、この瞬間のために呼んだんだから最後までコートに立て、ということだったのかもしれません」

――メダルが決まった瞬間のことは覚えていますか?

「セットカウント3-0で勝ったので展開も早く、3セット目は涙をこらえていました。私は(Vリーグの2012-13シーズンで)引退すると決めていたので、『この試合が終わったら、このメンバーとは2度とバレーができないんだ』と。だから試合が終わった瞬間は、安堵感や寂しさなどいろんな感情がごちゃまぜになって、メダルのことは忘れていました。それがすごいことなんだと実感したのは、帰国して多くのファンの方の祝福を受けた時ですね」