石川祐希はなぜイタリアにこだわるか。コミュ力UPで世界の一流選手へ (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by Sakamoto Kiyoshi

 もちろん向上したのはコンディションだけではない。これまでの、イタリアでの5シーズンで成長した点について次のように自己分析した。

「トップの選手たちと過ごす中で、メンタル面が成長したと思います。プレーでは、高いブロックのかわし方や、ブロックアウトの技術は間違いなく上がったと実感しています。昨シーズンに関してはサービスエースの数も多くなるなど、サーブの数字もよくなりました。戦術的なサーブをチームに求められることが多いのですが、それに応えられるくらいスキルが上がっていると思います。力を入れる時、リラックスする時のメリハリを意識しています」

 主力として活躍する石川に対して、チームが求めるプレーもより高度なものになっていったはずだ。それに対応するには監督やチームメイトとの意思疎通が不可欠になるが、現在の石川は「コート内での指示や、相手チームの対策に関することも、問題なくイタリア語でコミュニケーションが取れている」という。

オンライン会見でミラノ移籍について語った石川(所属事務所提供)オンライン会見でミラノ移籍について語った石川(所属事務所提供) 初めてイタリアでプレーしたモデナでは、チームの日本人スタッフを通してやりとりをすることも多かった。しかし、「3シーズン目あたりから」やりとりがスムーズにできるようになり、今では「コート外でのコミュニケーションも大事だと考えているので、もっと話せるようにしていきたいですね」と、よりチームメイトとの信頼関係を深める意識も高くなっている。

 ミラノでは、モデナでもチームメイトだったマテオ・ピアーノから学ぶことも多いだろう。石川も「彼とまた一緒にやれるのが楽しみ」と話す29歳のピアーノは、208cmのミドルブロッカーとして長らくイタリア代表で活躍してきた。石川がモデナに留学した翌年のワールドカップでは、対戦の後に「ユウキは、モデナにいた頃からすごく成長している」と驚いていたが、そこからさらに成長を遂げた石川は、彼にとって互いを高め合う存在になっているに違いない。

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