Vリーグ史上最大の下剋上へ。東レのエース黒後愛が「執粘」を見せる

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 堀江丈●撮影 photo by Horie Joe

 4月13日、東京の武蔵野の森スポーツプラザで、今シーズンより生まれ変わったバレーボール「V.LEAGUE」のDIVISION1初代女王が決まる。

 V・ファイナルステージの優勝決定戦(グランドファイナル)に駒を進めたのは、久光製薬スプリングスと東レアローズ。4月6日に行なわれた第1戦は、新鍋理沙や石井優希など全日本の主力選手が集う昨年のリーグ覇者・久光製薬が、セットカウント3-0のストレート勝ちで先手を取った。

 だが、若きエース・黒後愛を擁する東レが13日の第2戦に勝利し、25点制1セットの「ゴールデンセット」に持ち込んで逆転優勝を成し遂げる可能性も残されている。そうなれば、東レはリーグ史上初の"快挙"を成し遂げることになる。

東レのエースとしてチームをけん引する黒後愛東レのエースとしてチームをけん引する黒後愛 ここまでの東レの道のりは険しかった。2017年に"絶対エース"木村沙織、迫田さおりが相次いで引退したこともあり、昨シーズンは6位と低迷。さらに今シーズンから導入された、リーグを2つに分ける「東西カンファレンス」でのレギュラーラウンドでも、ウェスタンカンファレンスの5チーム中4位に甘んじ、東西の上位4チームが進むプレーオフの「ファイナル8」にギリギリで滑り込んだ。

「ファイナル8」に進んだチームには、東西のレギュラーラウンド1位に6点、2位に4点、3位に2点の持ち点が与えられる(4位は持ち点なし)。そこに、8チーム総当り方式で戦う7試合で得た勝ち点(セットカウント3-0と3-1が3点、3-2が2点、2-3が1点、1-3と0-3が0点)を加え、首位のチームはそのまま決勝の舞台へ。2位と3位のチームが決勝への切符を争う「ファイナル3」へと進む。

 女子のリーグが東西にわかれる前の2014-2015シーズンからスタートしたこのプレーオフ方式で、男女共に持ち点ゼロのチームが決勝に進出したことはなかった。そればかりか、「ファイナル3」に進んだチームさえなかったが、東レは「ファイナル8」を6勝1敗で勝ち点16を積み上げて2位まで順位を上げ、その壁を打ち破った。そして「ファイナル3」では、同3位のJTマーヴェラスとの第1戦をフルセットで落としたものの、第2戦に勝利し、直後の「ゴールデンセット」も制して久光製薬への挑戦権を得た。

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