石川祐希が思う「高さで劣る日本が突き詰めていくべきバレー」 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

――その「不本意なところ」とは?

「チーム練習で積み上げてきたものが、試合で発揮できなかったということです。チャンスがありながらそれをモノにできず、対応力のなさ、実力不足を感じた大会でした」

――手応えを感じたところはありますか?

「サーブで攻めて、つないでブレイク(サーブ権があるときに得点すること)する形が見えたことですね。高さで世界に劣る日本はブロックで得点できるチームじゃない。サーブで少しでも相手を崩し、スパイクのコースを絞ったりワンタッチを取ったりして拾ったボールを、きっちり打ち切って得点を重ねるバレーを突き詰めていくべきだと思います」

――全日本で取り組んでいた「速いバレー」に関してはいかがですか?

「よく『速いバレー』という言葉が使われますが、問題は『何を、どう速くするのか』というところ。単にトスを速くするだけではなく、判断力などあらゆるものを速くする必要があります。速さを意識するあまり、しっかりと打ち切るべき場面でうまくいかなかったこともありました。

 また、チームとして速さを追求することはいいことですが、それだけになってしまうと選手のよさが生かせなくなってしまうこともある。そこはスタッフと選手が何を優先すべきかをきちんと話し合わなければいけないと思います」

――2019年の個人の目標は?

「シエナでの試合や全日本で結果を出すのが大事ですけど、それまでの準備や内容にもこだわりたいです。今の自分が何をやるべきなのかを見直して、それをひとつずつクリアしていきたいです」

――東京五輪も1年半後に迫ってきました。

「やらなければならいことは山ほどあります。いつも応援してくださる方々やご支援をいただいている方々、オリンピックで僕たちのプレーを観る子供たちに喜んでもらいたい。『男子バレーいいね!』と思っていただきたい。自分たちのプレーや結果の先にあるものを全員でイメージしながら、限られた時間のなかで集中を切らさずに、充実した練習を重ねていきたいです。

 個人としては、今はシエナで残りの試合に全力を尽くすことだけを考えています。来季以降、どうなるかはわからないですけど、プロ選手として、自分の価値を認めてくれるチーム、自分が成長できると思えるチームでプレーし、世界のトップを目指したいです」

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る