Vリーグ男子・東レの優勝に「世界の高さとパワー」を破るヒントがある (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari 坂本 清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi


 全日本の現在の正セッターは深津英臣(パナソニック)だが、深津はミドルブロッカーへのトスの供給が少ないので、藤井が全日本入りすれば、カラーの違った司令塔で、試合の流れも変わるだろうし、お互い刺激にもなると思われる。

 また、富松の「サーブが突出していい、うちと合成さんが決勝に残った。これで、今のバレーボールが、サーブとサーブレシーブが大事だということが証明されたと思う」という言葉に重みを感じた。対角のミドル、李博も賛同する。

「今季は前年度の3倍くらいの時間をかけてサーブの練習をしました。サーブが強化されると、それを受けるレセプション(サーブレシーブ)の方も自然と強化されます。点差が離されても、サーブで攻めれば、全然追いつけるという自信を持ってやることができた」

 小林監督は就任5年目。自身が主将の時とコーチの時にそれぞれ優勝を経験している。サーブの強化には就任時から取り組んでいたが、なかなか思うようにいかず、「入れていけ」という指示に変えたこともあった。だが、2年前の天皇杯開催中に発覚した所属選手の窃盗事件で、天皇杯は辞退。チームは低迷し、入れ替え戦に回った。

「今だから言えるけれども、あのことがあったからこそ、少しずつ変えればいいんじゃなくて、全く新しくしようと覚悟を決められました。とはいっても選手は変えられませんから、コンセプトを変えた。サーブを強化するブレイク(サーブ権があるときに得点する)型のチームにしました。去年の3位がホップ、今年の天皇杯がステップ、そしてこのリーグ優勝がジャンプだった」

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