若きエース石川祐希、柳田将洋、東京五輪に向けて「海外へ出でよ」 (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

「どうしようかなという思いがあったんですけど、やはりコートに出ないと得られないものがあるという、そういった本人の強い思いが感じられたので、代えませんでした」

 結局、柳田はチームトップの14得点をマークし、ストレート勝ちに貢献した。ミドルブロッカー陣の速攻も機能した。日本は2勝5敗で8チーム中7位に終わり、2大会ぶりの五輪出場は成らなかった。

 それでも日本代表は幸せものである。この日も満員1万の観客から大きな声援をもらった。試合後、柳田に笑顔はなかった。コートそばで、マイクに声を張り上げた。

「これを新たなスタートにしたい。ぼくらの世代もしっかりと力が出せるように精進していきますので、これからもよろしく、お願いします」

"ぼくらの世代"、つまり若手たちはよくやったと思う。大会を通していえば、むしろ、清水邦広主将らベテラン勢が不甲斐なかった。特に要所でのミスで流れを失った。リオ五輪切符を逃した理由は、いかんともしがたい高さとパワーの差はともかくとして、1.サーブ力、2.ディフェンス(ブロックとレシーブ)、3.つなぎ、パスの精度――に甘さがあったからだ。

 相手が弱くて、ノープレッシャーなら、最後の試合ぐらいのプレーはできる。テクニックはあるのだが、それを重圧下で生かすスキルが足りないのである。若手は才能も人気もある。ただ、経験が足りなかった。

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