【女子バレー】ハイブリッド6のキーマン、宮下遥の心意気 (2ページ目)

  • 中西美雁●文・写真 text &photo by Nakanishi Mikari

 世界選手権、宮下はコンディションが万全ではなかった。左足に違和感を覚え、かばいながらのプレイだったと聞く。

――足をケガしかかっていたと。大会後のテレビで見たのですが。我慢しながらプレイしてたんでしょうか。

「我慢というか、スタッフにはきついということは言っていたのですけど、伝えても完全に外れるわけではなかったので、自分の足と相談しながらという感じでした」

――ハイブリッド6は、セッターが真ん中でブロックしないといけないので大変でしたね。

「自分も真ん中でブロックに跳んだあと、(着地後、すぐに振り返って)いい状態でトスを上げることができたのは、本当に何本かしかなかったので、スパイカーもすごく合わせにくかったと思うし、あの戦術でこれからも戦うんだったら、そこを極めていかなければならない。でも、今はどうなるかわからないから、何とも言えないですね」

 時間をかけていけば団結力は高まるでしょうか?と問うと、宮下は首をかしげた。

「それはあまりないと思います」

――所属の岡山シーガルズのトスと全日本のトスはどう違うのですか? 全日本との違いで戸惑ったりしました?

「違いは、ネットに近いトスとそうでないトスです。去年初めて全日本に入ったときは、ネットから離したトスに抵抗があって、監督に『離せ』って言われても、『絶対間違ってる』と思って、なかなかやろうと思わなかったんですけど、それで去年は通用しなかった部分があったので、今年はちょっと受け入れてみようかなと思ってやってみました。そして、うまくいった部分もありました」

 なんと、眞鍋監督の指導を「絶対間違っている」と思ってその通りにはしなかったというのだ。当時、まだ彼女は10代。なかなか肝が据わっている。

――あとはスパイカー個人個人の好みに合わせていく?

「はい」

――去年と今年の違いは?

「去年は、全日本というのは私にとって初めての経験だったので、本当に精一杯でしたし、すごく新鮮な感じだったんですけど、今年は1年経験している分、去年できなくて後悔したことをちょっと挑戦してみたいという意味での新鮮さがありました。」

――どんなところを挑戦してみようと思ったの?

「去年は余裕がなくて、先輩とコミュニケーションをとることができなかった。全日本の戦術を覚えること、使いこなすことでいっぱいいっぱいだったので、周りのことを思う余裕がなかった。今年は正セッターじゃない分、負担も全然なかったので、コートに立っていない時になるべく上の方と話したりしてみました」


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