【女子バレー】眞鍋ジャパンの新戦術はポジションレス (3ページ目)

  • 中西美雁●文 photo&text by Nakanishi Mikari

 眞鍋監督はバレーの歴史を調べて、いつ、誰がポジションを固定し始めたのかを探ったが、それはわからなかったという。ならばいっそ、このポジションごとに役割を固定するのをやめたらどうか。2012年、眞鍋ジャパンが28年ぶりにロンドン五輪で銅メダルを獲得した同じ大会の男子決勝では、ロシアが試合中にミドルブロッカーのムセルスキーをオポジット(セッター対角のアタッカー)にコンバートして、フルセットの末に大逆転で金を獲った。これももちろん参考になった。

 Hybrid6に取り組んできたワールドグランプリの予選ラウンド。日本は5連敗のあと4連勝してファイナル東京大会に臨むことになる。

 鍵を握るセッター2人のうち宮下は、「負けが続いたとき、この戦術でいいのかという迷いや不安がチーム全体の中で大きくなったところはあります。でも、眞鍋さんにも『すぐに結果は出るわけじゃない』とミーティングでもいわれましたし、私のようなあまり試合に出ないメンバーができるのは雰囲気作りなので、できることを精一杯やりました。センターブロックを跳ぶのは、今までやったことがなくて……すごく難しいです(笑)。両サイドに跳んだあと、切り返しの攻撃のためのトスをあげる時に体勢が崩れてしまうので、そこはもっと自分が頑張らないと」と語っている。

 また主将の木村沙織は、「新しいことに取り組んでいるので、そんなにすぐには結果が出ない。でもあきらめずに続けていったことで個人の調子が上がったし、チームとしても丁寧なバレーができるようになってきて結果も出るようになりました。私個人では、やることがそんなには変わっていません。バックアタックが少し速くなったくらい。ローテーションによって違うポジションをやる選手もいるので、苦労している部分はありますが、いい感じで決勝に臨めると思います」と、前向きだった。

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