【男子バレー】世界バレー逃がす。惨敗の理由は力量か、采配か

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●写真 photo by Sakamoto Kiyoshi

「絶対に負けられない試合」のはずだった。15回連続出場のかかった世界バレーアジア予選最終日、全日本男子は韓国にストレート負けを喫し、その記録を途絶えさせることとなった。しかも、3セット目は13-25。惨敗である。初戦カタール、第2戦ニュージーランド戦には勝利したが、ワールドランキングは53位、78位と全くの格下(日本は19位)だ。

韓国戦に完敗、憮然とした表情の(左から)近藤茂、出耒田敬、千々木駿介韓国戦に完敗、憮然とした表情の(左から)近藤茂、出耒田敬、千々木駿介 8日に対戦した韓国は、主力のムン・ソンミンら5選手が負傷して抜け、ベテランと若手で構成された急造チーム。「呼吸が合ってきたのはやっとここ1、2週間のことでした」(ハ・ギョンミン主将)。もっとも、「ニュージーランド、カタールは格下の相手。最初から全てを日本戦に向けて準備してきた。世界バレーの切符を獲るためには、手段も方法も選ばないつもりだった」とパク・ギウォン監督が言うように、韓国は日本を圧倒した。

 試合内容も、日本は全セットを通じて一度もリードすることなく、21歳のチョン・ガンインに20得点を許した。現代バレーは「サーブ&ブロック」が鉄則だ。強いサーブ、もしくは前後に揺さぶるなどの戦略的なサーブで相手を崩し、ブロックにかけて攻撃に切り替えて得点する。日本は強いサーブで攻めきれず、ミスするか、それを恐れて弱いサーブを入れ、韓国に楽にサイドアウトを取られる結果となった。レセプション(サーブレシーブ)の名手だった青山繁に「ユウのサーブは、俺でも怖いよ」と言わしめたビッグサーバー・越川優も例外ではなかった。

 対して韓国はジャンプサーブ、前後に揺さぶるサーブなどで日本のレセプションを崩壊させた。その結果、日本は極端にセンターの攻撃が少なくなり、サイド偏重のバレーとなってしまった。レセプションが崩れることが多かったせいではあるが、司令塔・近藤茂のトスミスが3セットで3回もあり、流れを相手に押しやることになった。

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