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錦織圭の練習を見て伊藤竜馬が気づいたこと 「同じメニューを繰り返しやることは少なかった」 (2ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Akatsuki Uchida

【圭は練習より試合をしたい選手】

 錦織の強さを表現する際に、「センス」や「創造性」はよく用いられる言葉である。では、そのような「独特の感覚」は、いかにして培(つちか)われるものなのだろうか? 指導者としての経験や信念も投影するかのように、伊藤さんは次のように分析した。

「僕が初めて圭の試合を見たのは、彼が小学5年生の時。その当時から、今と同じようなテニスをしていました。よく、圭が強くなれたのはIMGアカデミーに行ったからだと言われますが、彼のテニスの基礎はその前からできていたと思うんです。

 そこはおそらく、彼が子どもの頃に教わっていた島根のコーチがすばらしかったんじゃないかと思いますね。最初から左右の動きだけではなく、前後の動きも取り入れた練習をしていたから、今があるのだろうなと。

 僕らが子どもの時代は、練習といえば左右の振り回しが多かったと思うんですね。特に大きなテニスクラブだと、どうしても全体練習が多くなるので、そうなりがちだった。だから横の動きは強くても、前の空間を使う選手は少なかったように思います。

 ドロップショットの練習も、あまりやらなかった。そもそもドロップショットを打つことは、『逃げ』みたいな風潮もあったんです。

 そんな時代にもかかわらず、圭はきっと『ドロップショットもどんどん打っていいよ』という雰囲気のなかで練習できていたんじゃないでしょうか。コートを広く使えるのは、コーチとの出会いもよかったんだろうなと思います」

 天からのギフトのように見える創造性やセンスも、日々の積み重ねで習得したスキルでもある。伊藤さんがそのように感じる理由は、直に見てきた錦織の練習風景にもあるようだ。

「練習での圭は、同じメニューを繰り返しやることは少なかったように見えました。自分のことを『飽き性』だと言っていましたね。だから練習でもいろんなパターン練習をしていたし、それが試合でも生きているんだと思います。

 基本的に圭は、やっぱり練習より試合をしたい選手だとは思います。試合の時の圭は、すごく楽しそうに見えますもん。圭は駆け引きが好きだと思うので、実戦でその楽しさを味わいたいと思っているとは思います」

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