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小5の錦織圭を見て「なんや、この子!?」の衝撃 1歳上の伊藤竜馬は「彼なら世界一になれるかも」 (3ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Akatsuki Uchida

【錦織は「世界への道しるべ」】

 伊藤さんにとって、プロの道を選ぶ決定機となった全米オープン。その後、伊藤さんが再び錦織と会ったのは、プロ転向1年目の10月──東京開催のジャパンオープンの会場だった。

 伊藤さんはATPツアーの同大会に予選から出場。一方で錦織は、ワイルドカード(主催者推薦)を得て本戦に出場した。この大会に合わせて錦織はプロ転向も発表。1年前にジュニアだったふたりは、いずれも「プロ」として再会した。

「ジャパンオープンの時も、圭のお父さんと一緒に3人でご飯を食べたりしました。主に圭のお父さんのほうからだったと思いますが、遠征にはどれくらいの費用がかかるのかとか、プロ契約はどんな内容なのかとか、聞かれた覚えがあります。

 僕もプロ1年目で、知りたいこともあったので、いろいろ質問しましたね。アメリカのフューチャーズ(ツアーの下部大会群)の環境とか、どういうふうにスケジュールを組んでいるのかとか。

『アメリカに行ったら、フロリダのIMGアカデミーで練習させてもらえるの?』と聞いたりもしました。錦織くんは『大丈夫だよ』と言ってくれて、そこからは何度か行かせてもらいました。たしか、その年の年末だったのかな? 12月に2~3週間、合宿みたいな感じでIMGで練習させてもらい、その後にアメリカに遠征したこともありました。

 その時の圭は、もうランキング200位台にいたと思います。圭とも練習したし、ほかのプロ選手ともたまに打たせてもらえたり。僕は海外のアカデミーとのつながりもなかったので、圭に仲介してもらえたのはありがたかったですね」

 地元・三重県員弁郡北勢町(現在のいなべ市)でテニスを始め、部活動を主戦場とした伊藤さんにとって、錦織は盟友にして、数少ない「世界への道しるべ」でもあった。

 そんな環境に身を置く1歳年下の錦織を、伊藤さんは「いいな」と思いこそしたが、妬むことはなかったと述懐する。それは、環境は与えられたものではなく、錦織が自らの覚悟で勝ち取ったことを理解していたからだ。

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