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小5の錦織圭を見て「なんや、この子!?」の衝撃 1歳上の伊藤竜馬は「彼なら世界一になれるかも」 (2ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Akatsuki Uchida

【プロ転向を決意した18歳の夏】

 こうして離れたふたりの足跡が、再び交錯するのは5年後の夏。ニューヨークの全米オープン会場だった。

「2006年に僕は全国選抜高校テニス大会で優勝して、そのご褒美として全米オープン・ジュニア予選のワイルドカード(主催者推薦枠)をいただいたんです。僕にとっては、初めての海外遠征。

 いろいろと心配だったんですが、帯同してくれたウィルソンの関係者の方が圭のことを知っていて、『彼についていけば大丈夫だよ』と言ってくれたんです。それで全米オープン会場で圭に会って、話すようになりました。

 お互いに名前は知っていましたが、話すのはあの時が初めてだったと思います。圭のお父さんもいたので、挨拶をして、少し話もして。圭のお父さんが僕のことを『たっちゃん』と呼んでいたので、圭も同じように僕のことを『たっちゃん』と呼ぶようになりました。

 僕は、最初は『錦織くん』って呼んでいたけど、徐々にくだけて『圭』って呼ぶようになったと思います。それでも最初は、ちょっと遠慮していましたね。『ケ、ケ、ケ......ケイ』みたいな感じで」

 相好をクシャっと崩し、伊藤さんがワハハと笑う。

 不安を抱えた異国の地で、海外慣れした少年と親交を温めた、20年前の日──。その当時を回想する時、今でも伊藤さんは時折、記憶のなかの少年を「錦織くん」と呼んだ。

 この時の全米オープン・ジュニアで、伊藤さんは予選を突破し、本戦でもひとつの白星を勝ち取る。海外の同世代の選手とも戦えたことが、大きな自信になっただろうか。2006年12月25日、高校卒業を待たず伊藤さんはプロ転向した。

「18歳で出た全米オープン・ジュニアのあと、本格的にプロになりたいという意思が固まったんです。あそこで予選を勝ち上がり、本戦でも一回勝てた。グランドスラムというテニス最大の大会に出て、プロの試合も見ることができて、すごくいい刺激になったんです。『錦織くんもプロになると言っているし、僕も絶対になろう』と決意したのが、あの時の全米オープンでした」

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